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あてがき

脚本を書く際に特定の俳優を念頭に置いて、その人の個性や演技の特徴を深く理解した上でキャラクターを設計し、台詞を書いていく脚本執筆手法です。

UP(アップ)を解説するイメージ(監修・神野富三)

二つの側面を持つアプローチ


一つは、俳優の持つ自然な魅力や話し方、これまでのイメージを活かしてキャラクターを構築し、その俳優が最も輝ける役柄を提供します。

もう一つは、俳優の基本的な資質を理解しながらも、これまでとは異なる新しいキャラクター像を提示し、俳優の潜在的な可能性や未開拓の演技領域を引き出すことです。



創造的な相互作用


優れたあてがきは、脚本家が俳優の内面や演技の幅を深く洞察し、「この俳優ならこの役をどう表現するか」「この俳優の新たな一面をどう引き出せるか」を考えながら執筆します。結果として、俳優にとって演じやすく、かつ新たな挑戦となる役柄が生まれ、観客にも予想を超える演技体験を提供できます。



効果と特徴


俳優の魅力を最大化しつつ作品全体のクオリティを高め、時には俳優のキャリアの転換点となるような役柄を創出する、日本の演劇・ドラマ業界でよく用いられる脚本技法です。いずれの場合も、そのドラマ作品の完成度を上げることが最終的な目的です。

映像制作会社としての視点


ビジネス映像では、ドキュメンタリー手法であっても、被写体となる人のコメントやインタビュー内容は予め想定する場合が多いものです。これも撮影台本に書き込まれれば「あてがき」と言えます。


例えば、経営者インタビューであれば、その人物の話し方の特徴、専門知識、立場を考慮して、どのような質問をすればどのような答えが返ってくるかを想定し、台本に組み込みます。技術者であれば専門用語を交えた説明を、営業担当者であれば顧客目線のエピソードを、といった具合に、話す内容や表現を出演者の属性や個性に合わせて設計します。


これにより、撮影当日、インタビュワーはそのあてがきに沿った回答が得られるよう質問し、限られた時間内で必要なコメントを確実に収録できます。また出演者も事前に話す内容の方向性を把握できるため、自然で説得力のある発言がしやすくなります。完全に台本通りである必要はなく、現場での自発的な発言を引き出すための指針として機能するのが、ビジネス映像におけるあてがきの本質です。

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わる

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