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センチュリー

撮影現場や撮影スタジオの照明機材の必須アイテムとして知られるセンチュリースタンドは、独特な構造を持つ照明用スタンドです。3本の脚は折りたたみ式ではなく、曲げパイプを3段重ねにした設計になっています。各脚の長さは意図的に異なっており、収納時にコンパクトに重なるよう工夫されています。

センチュリーを解説するイメージ(監修・神野富三)

センチュリースタンドは商品名


Century StandとC-Standは Matthews Studio Equipment, Inc.の登録商標です。

この照明用スタンドは、優れた機能を持っていて他に類を見ないため、商標名がそのまま照明用語として定着しています。


実は「センチュリー」という名称は、本来スタンド本体ではなく、付属のエクステンショングリップアーム(センチュリーアーム)を指す言葉でした。しかし現在では、スタンド本体とアームを含めたセット全体を指すように意味が拡大しています。



機能性


最大の特徴は、スライディングレッグと呼ばれる便利な機構です。各脚の高さを個別に調整でき、適度な重量があるため、段差のある場所でも安定して設置できます。この優れた安定性から「不整地スタンド」という別名でも呼ばれ、小型版は「ミニセンチュリー」または「ミニセン」として親しまれています。


スタンド上部には様々な機材を取り付けられる接続部があり、照明器具だけでなく、カポックや黒フラッグなどの光量調整機材も自在に設置可能です。また、グリップヘッドとセンチュリーアームを組み合わせることで、より細かな位置調整が可能になります。


映像制作会社としての視点


センチュリーは、その堅牢性と、ブーム(アーム)による自由なポジショニング性能から、撮影現場では「ライトを立てる」以外の用途で「万能な支え」として酷使されています。



1. 「置き型」カメラスタンド(俯瞰撮影)


三脚では脚が写り込んでしまうような、真上からの俯瞰(フラットレイ)撮影に流用します。


センチュリーのアームの先に「16mmダボ付の雲台アダプター」を装着し、カメラを取り付けます。料理の物撮りや手元の作業動画などで、カメラを被写体の真上に突き出すことができます。カメラは重いため、必ず脚の長い「大脚」の真上にアームが来るように配置し、反対側にサンドバッグ(重し)を載せるのが鉄則です。



2. 音声マイクの「置きブーム」


インタビュー撮影などで、録音部がいない場合に重宝します。


アームの先にマイクホルダーを取り付け、演者の頭上ギリギリにマイクを配置します。 長時間のインタビューでもマイクの位置がズレず、画角の外に正確にマイクを忍ばせることができます。



3. モニター・プロンプターの支持


演者がセリフを確認するためのモニターや、プロンプターを支えるスタンドとして使用します。


VESAマウントに対応したスタンドアダプターを使い、液晶モニターを固定します。演者の目線の高さに合わせて、ミリ単位で高さを調整できるため、視線が泳ぐのを防げます。



4. 特殊効果の「吊り下げ」


演出用の小道具を空中に固定するために使われます。


透明なテグスをアームから垂らし、商品や背景の装飾を吊るします。1本のスタンドから複数のアームを出せば、複数の小道具を異なる高さで静止させることができ、フォトグラメトリや不思議な浮遊感のあるカットが撮れます。



5. 即席の「カポック・背景」立て


背景紙(Bバック)の芯を通したり、巨大なカポック(スチロール板)を挟んで固定したりします。


「クリップ(グリップヘッド)」で板を直接挟むか、2本のセンチュリーの間にポールを渡します。



センチュリーを「意外な用途」で使う際の鉄則


照明以外で使う場合、特にカメラやモニターなどの高価な機材を載せる際は、以下の「安全の3原則」がより重要になります。


右締めの法則

荷重がかかったときにネジが締まる方向(右側)に機材が来るようにセットする。


大脚の向き

最も長い脚を、アームが伸びている方向と同じに向ける(重心を支える)。


サンドバッグ

「1つのセンチュリーに1つの重し」を徹底する。

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わる

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