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カットバック

カットバック(cut back)とは、ある人物や場面から別の人物や場面へカットを切り替えたあと、再び最初の人物や場面へ戻る編集を指します。

カットバックを説明している画像

最も単純に表せば、

A → B → A

という構成です。


例えば、話している人物Aを映している途中で、それを聞いている人物Bの表情を見せ、再びAへ戻る。あるいは、作業している人物から時計へ切り替え、再び人物へ戻る。このように、一度別の画面を挟んで元の対象へ戻ることが、カットバックの基本的な考え方です。

カットバックそのものは、異なる場所で同時に起こっている出来事を意味する言葉ではありません。また、必ず二つの場面を何度も交互に見せる必要もありません。

映像制作の現場から


「戻る」ことに意味がある


カットバックでは、途中に挟まれるBのカットによって、戻ったあとのAの見え方や意味が変わります。

例えば、会議で発言する人物を映している途中に、無言で腕時計を見る出席者を挟み、再び発言者へ戻る。

単に発言者を映し続ける場合と比べ、観客は「話が長いのではないか」「聞き手は退屈しているのではないか」といった意味を読み取るようになります。

編集では、カットとカットの組み合わせによって意味が生まれます。カットバックは、その基本的な働きを利用した編集方法のひとつです。



カットバックは同時進行とは限らない


カットバックは、異なる場所で同時に進行する出来事を交互に見せる場合にも使われます。

例えば、


逃走する犯人

追跡する警察

再び犯人

再び警察


と編集すれば、結果としてAとBを行き来するカットバックの形になります。

しかし、この場合に重要なのは、単に「元の場面へ戻った」ことではありません。二つの場所で進行する出来事を交互に見せることで、それらが同時に進んでいることや、やがて両者が接近することを観客に意識させています。

このような編集は、一般にクロスカッティング(cross-cutting)と呼ばれます。



クロスカッティングとの違い


カットバックとクロスカッティングは、実際の映像ではよく似た形になります。

どちらも、


A → B → A → B……


という編集になることがあるためです。

しかし、二つの言葉が示しているものは同じではありません。

カットバックは「別の画面へ切り替え、再び元へ戻る」という編集の動きに着目した言葉です。

一方、クロスカッティングは、二つ以上の場所や出来事を交互に配置し、それらの関係を描く編集技法です。

したがって、「話し手 → 聞き手 → 話し手」のような編集はカットバックと考えることができますが、通常はクロスカッティングとは呼びません。

逆に、異なる場所で進行する二つの出来事を何度も交互に見せる場合には、個々にはカットバックする編集であっても、そのシークエンス全体の技法としてはクロスカッティングと捉えることができます。


両者を同義語としてしまうより、カットバックは画面の「往復」、クロスカッティングは複数の出来事を「交差させて描く」技法と考えると、その違いが分かりやすくなります。

最終更新日

2026年8月17日 11:20:16

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わりながら

​ビジネス映像制作のノウハウを伝承する「名古屋映像設計研究所」を主宰

 執筆者ブログ「映像制作ガイドブック」

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