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ドラマツルギー

物語や演劇において、出来事や登場人物の関係をどのように構成し、展開させるかという「構造設計」や「構成原理」を指す言葉です。

ドラマツルギーを解説するイメージ(監修・神野富三)

もともとは演劇の分野で使われてきた用語で、現在では、映画、テレビ、映像コンテンツ、さらには広告やドキュメンタリーなど、広く「物語性のある表現」全般に使われています。


基本的な意味


ドラマツルギーは「ストーリー(あらすじ)」ではなく、以下のような要素を含む、より広い概念です。

  • どの順序で出来事を提示するか

  • 情報をいつ、どの程度明かすか

  • 登場人物の関係性をどう変化させるか

  • 観客の感情をどのように動かすか

つまり、「何が起きるか」ではなく、「どう見せるか」「どう感じさせるか」を設計する考え方です。



もう少し具体的に言うと


例えば同じ内容でも、

  • 最初に結末を見せるか

  • 徐々に情報を明かしていくか

  • 視点を誰に置くか

によって、観客の受け取り方は大きく変わります。この「構成による効果」を設計するのがドラマツルギーです。

映像制作の現場から


ビジネス映像において、ドラマツルギーは「あれば良い演出技法」ではなく、構成の基盤そのものです。どれほど優れた情報や魅力的な商品であっても、映像は時間軸に沿って展開されるメディアである以上、「何を」「どの順序で」「どのように」見せるかという構成判断が必ず必要になります。この判断の枠組みがドラマツルギーです。


例えば、5分間のインタビュー素材から2分の映像を作る際、どの発言を冒頭に置き、どこで視聴者の関心を引きつけ、どう締めくくるかを決めなければなりません。これは編集作業である以前に、視聴者体験の設計、つまりドラマツルギーの実践です。


また、クライアントが「わが社の強みを伝えたい」と依頼した場合、その強みをただ列挙するのか、課題解決のストーリーとして示すのか、社員の証言を通じて語るのかといった選択は、すべて物語構造の設計に関わります。


つまり、ビジネス映像制作者は意識的であれ無意識的であれ、常にドラマツルギーの原理を使って構成を行っています。それを体系的に理解し意図的に活用できるかどうかが、視聴者の行動や態度変容につながる映像を作れるかどうかの分かれ目になります。



それぞれの場面で利用されるドラマツルギーの具体的な機能は以下のようなものです。


企業紹介・採用動画の構成時


  • 三幕構成:設定(企業の背景・理念)→葛藤(業界課題や挑戦)→解決(独自の取り組みと成果)という段階的展開で物語性を持たせる

  • 感情曲線の設計:視聴者の共感や期待感を徐々に高め、クライマックスで最も強い印象を残すよう構成する



商品・サービスのプロモーション映像


  • 緊張と解放:顧客の困りごとで緊張を作り、商品による解決で解放感を与えることで、商品価値を感覚的に伝える

  • 対立構造:「課題vs解決策」「旧来の方法vs新しい方法」という対比を設けることで、訴求ポイントを明確にする



研修・教育用コンテンツ


  • 伏線と回収:冒頭で疑問や課題を提示し、後半で解答・解決策を示すことで、学習者の能動的な思考を促す

  • カタルシス:問題が解決される瞬間を設計することで、理解の達成感を与え、記憶定着を促進する



インタビュー映像の編集


  • プロット構成:時系列ではなく、物語として最も効果的な順序に再配置する(例:現在の成功→過去の苦労→転機→現在への回帰)

  • 転換点(ターニングポイント):話し手の人生や事業における決定的な出来事を、映像の山場として配置する

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わりながら

​ビジネス映像制作のノウハウを伝承する「名古屋映像設計研究所」を主宰

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