吹き替え
映像作品の元の台詞や声を、別の演者・別の言語による声へ置き換えることです。現在は外国映画な どの日本語版を指すことが一般的ですが、「吹き替える」という言葉はもともと声だけを指すものではありません。
「吹き替え」は「別のものに替える」こと
現在「吹き替え版」といえば、海外映画や海外ドラマなどの原語音声を日本語音声に置き換えたものを思い浮かべるでしょう。
しかし、映画における「吹き替え」は、もともと音声だけに使われる言葉ではありません。危険なアクションなどを俳優本人に代わって別の演者が行うことも「吹き替え」と呼ばれてきました。現在のスタントダブルに相当する使い方です。
つまり「吹き替え」の中心にあるのは、本人・本来のものを、別のものに替えるという考え方です。
外国映画の日本語吹き替えも同様です。外国人俳優が話している原語の台詞を、日本語を話す別の演者の声へ置き換えます。ここで「アテレコ」との違いが見えてきます。
吹き替えは、元の声を別の声に替えること。
アテレコは、すでにある映像や演技に声を当てること。
したがって外国映画の日本語版制作では、一つの作業を「吹き替え」と呼ぶことも「アテレコ」と呼ぶこともあります。さらに、映像完成後に収録するという意味では「アフレコ」でもあります。三つの言葉は完全な同義語ではありません。それぞれ同じ作業の異なる側面を表しています。
映像制作の現場から
吹き替えでは「日本語を読めばよい」わけではない
吹き替え版では、原則として原語の台詞に代わって日本語音声が作品の台詞になります。そのため、単に翻訳として正確であればよいわけではありません。原語では2秒で言えることが、日本語では4秒必要になることもあります。逆もあります。画面上の人物が話し始めたのに日本語が始まらない、口を閉じた後も日本語だけが続く、といった状態では違和感が生じます。
そこで翻訳段階から、意味を保ちながら台詞の長さや語順を調整し、演者も映像上の人物の呼吸、口の動き、感情などを読み取って演技します。
一方、企業映像で外国人経営者や技術者のインタビューを日本語化する場合には、必ずしも吹き替えが最適とは限りません。本人の原音を残すことに意味があるからです。その場合には、原音を小さく残して日本語音声を重ねるボイスオーバーという方法があります。
「別の声に替える」のか、「本人の声を残して別の声を加える」のか。
ここが吹き替えとボイスオーバーを選択する際の大きな違いです。
最終更新日
2026年8月24日 15:39:46

