IN点/OUT点とは
映像や音声素材の中で、編集に使用する範囲の開始位置と終了位置を示す編集用語です。
IN点は「ここから使う」、OUT点は「ここまで使う」という位置を示します。たとえば10秒間の撮影素材のうち、3秒目から7秒目までを使用する場合、3秒目がIN点、7秒目がOUT点になります。IN点より前、OUT点より後の映像が消去されるわけではありません。素材そのものは残したまま、その中から使用する範囲を指定します。
IN点/OUT点は何のためにあるのか
映像編集では、撮影された素材を最初から最後までそのまま使用することは多くありません。カメラが回り始めてから演技が始まるまでの時間があったり、必要な動作が終わったあとも撮影が続いていたりします。また、一つの長い撮影素材から、ごく短い部分だけを抜き出して使うこともあります。そこで編集者は素材を見ながら、
「このフレームから使う」
「このフレームまで使う」
という二つの位置を決めます。それがIN点とOUT点です。英語では一般に Mark In/Mark Out と呼ばれます。
素材だけでなく、編集する時間軸にもIN/OUTがある
IN点/OUT点は、素材の使用範囲を決めるためだけのものではありません。編集システムでは、編集する時間軸、現在のNLE(ノンリニア編集)でいうタイムラインやシーケンス側にもIN点/OUT点を指定できます。素材側では「どこからどこまでを使うか」を指定し、編集側では「どこから入れるか」などを指定する。この組み合わせによって編集点を決定します。
現在でも使われる3点編集、4点編集といった操作は、この考え方を理解すると分かりやすくなります。
映像制作の現場から
なぜIN点/OUT点を「打つ」と言うのか
日本の編集室では、「IN点を打つ」「OUT点を打つ」といった言い方がされてきました。この表現には、リニア編集時代の編集操作が関係しています。
テープを使った編集では、編集者は素材を再生し、目的のフレームを探し、その位置のタイムコードを編集機や編集コントローラーに登録していました。その際、ENTERやENTRYなどのキーを押して編集点を入力・登録します。つまり「INを打つ」「OUTを打つ」という言葉には、編集点を決めてキーを打ち、その位置を機械に登録するという実際の操作感がありました。現在ではその操作環境そのものを知らなくても「INを打つ」という言葉だけが使われることがありますが、もともとは編集機を操作する身体感覚と結びついた表現です。
ノンリニア編集では少し感覚が変わった
現在のPremiere ProやDaVinci Resolve、Avid Media ComposerなどにもIN点/OUT点の概念は引き継がれています。
ソースモニターで素材を再生し、使用したい最初のフレームでIN、最後のフレームでOUTを設定してからタイムラインへ配置する。これはリニア編集時代から連続する編集方法です。一方、ノンリニア編集では、素材をいったんタイムラインへ置き、クリップの端をマウスでドラッグして使用範囲を変更することも簡単にできます。そのため、現在の編集ソフトから映像編集を覚えた人にとっては、
「素材をタイムラインへ置く前に、INとOUTを決める」
という操作は、必ずしも直感的ではなくなりました。しかし、これはIN点/OUT点という概念がなくなったということではありません。映像編集とは本来、撮影された素材の中から必要な時間を選び、それを別の時間軸の中へ配置していく作業でもあります。その「素材のどこからどこまでを使うのか」を明確に示すのがIN点/OUT点です。
現在のNLEでは、その指定方法が増えたため、IN/OUTを意識せずに同じ結果を得ることができるようになったわけです。
最終更新日
2026年8月19日 12:51:27

