top of page

マッチカット

映像編集において視覚的な類似性や関連性を利用して、二つの異なるシーンをスムーズに繋ぐ手法です。二つの異なるシーンを、視覚的な類似性(形、色、動きなど)や関連性(象徴的な意味など)を利用して、自然かつスムーズに繋ぐ編集技法です。これにより、視聴者はシーン間の繋がりを直感的に理解し、物語への共感を高めることができます。

マッチカットを解説するイメージ(監修・神野富三)

1. 方法


形状の一致

例えば、丸いボールから丸い月へと繋ぐように、形状が似たものを利用します。


動作の一致

例えば、人が手を振る動作から、鳥が羽ばたく動作へと繋ぐように、動作が似たものを利用します。


構図の一致

例えば、同じ構図で撮影された二つのシーンを繋ぐことで、視覚的な連続性を生み出します。


象徴的な意味の一致

例えば、花が枯れるシーンから、人が老いるシーンへと繋ぐように、象徴的な意味が似たものを利用します。



2. 目的


シーン間のスムーズな移行

視覚的な類似性により、視聴者はシーンの変化を自然に受け入れることができます。


物語の象徴的な表現

視覚的な繋がりを通して、物語のテーマや登場人物の心情を象徴的に表現することができます。


時間や空間の飛躍的な表現

異なる時間や場所のシーンを繋ぐことで、物語の展開をスムーズかつ印象的に表現することができます。


視聴者の印象に残りやすい

マッチカットは高度な編集技術のため、視聴者の印象に残りやすい映像表現です。

映像制作の現場から


ビジネス映像制作においてマッチカットを用いると、説明的なナレーションに頼らずとも、直感的に「変化」や「連続性」を伝えることができます。



1. 伝統と革新の接続(会社案内・製造業)


企業の「歴史」と「最新技術」をシームレスに繋ぐパターンです。


  • カットA: 創業当時の職人が、机で図面を広げる様子を真上からの俯瞰で。

  • カットB: 現代のエンジニアが、大型モニターで3D CADを操作している様子を同じ真上からの俯瞰で。

  • 効果: 「道具は変わっても、設計に対する真摯な姿勢は変わらない」というメッセージを、説明抜きで印象付けます。



2. アイデアの具現化(IT・スタートアップ・サービス)


「思考」が「現実のサービス」に変わる瞬間を捉えるパターンです。


  • カットA: 会議室で社員がホワイトボードに、サービスロゴやフローの「円」を描くアップ。

  • カットB: 街中で、ユーザーがスマホアプリの「円形のボタン」をタップするアップ。

  • 効果: 開発現場の熱量が、ダイレクトにユーザーの利便性に繋がっていることを強調し、サービスの社会的意義を連想させます。



3. グローバルな連動(商社・物流・グローバル企業)


「距離」を超えてビジネスが動いている躍動感を伝えるパターンです。


  • カットA: 海外拠点のスタッフが、資料の入った「封筒」を画面左から右へ差し出す。

  • カットB: 日本本社のデスクで、別のスタッフが「タブレット端末」を同じ速度で画面左から右へ受け取る(スライドさせる)。

  • 効果: 世界中の拠点が一つのチームとして、よどみなく連携しているスピード感と信頼性を演出します。



4. 商品の日常への浸透(商品PR・BtoC)


「製品の美しさ」から「使用シーン」へダイナミックに移行するパターンです。


  • カットA: スタジオのライティングの中で、製品(例:飲料ボトル)が「右から左へ回転」しているクローズアップ。

  • カットB: 夕暮れの公園で、利用者がその製品を手に持ち、「右から左へ振り向く」スローモーション。

  • 効果: 「特別な製品」が「日常の風景」へと溶け込んでいく様子を、視覚的な心地よさ(テンポ感)と共に伝えます。


これらのマッチカットは、事後の編集だけで作ろうとすると不自然になりがちです。撮影現場で「構図の追い込み」を徹底し、ガイドとなる線をモニターに引いて撮影することで、効果的な表現となります。


執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わりながら

​ビジネス映像制作のノウハウを伝承する「名古屋映像設計研究所」を主宰

ブログ

bottom of page