絞りとは
レンズを通過する光束の量を制限するための開口部、またはその開口の大きさを調整する機構です。一般的な撮影レ ンズでは、複数の絞り羽根によって開口径を連続的に変化させる虹彩絞り(アイリス)が用いられています。
絞りの程度は一般F値(Fナンバー)で表します。F2、F2.8、F4、F5.6、F8などと表記され、F値が小さいほど絞りは開き、F値が大きいほど絞られます。
絞りと露出
絞りは、シャッタースピード、ISO感度とともに、撮影時の露出を決める基本的な要素です。
絞りを開けばレンズを通る光が増え、映像は明るくなります。反対に絞れば光量が減り、暗くなります。
ただし動画撮影では、シャッタースピードを露出調整のために自由に変更すると、動いている被写体の見え方が変わってしまいます。そのため、絞りやISO感度、NDフィルターなどを使って露出を調整することが多くなります。
絞りと被写界深度
絞りには、光量を調整するだけでなく、被写界深度を変える働きがあります。
一般に絞りを開くほど被写界深度は浅くなり、ピントを合わせた被写体の前後がぼけやすくなります。反対に絞るほど被写界深度は深くなり、広い範囲にピントが合って見えるようになります。
そのため絞りは、単なる露出調整機構ではなく、映像表現にも直接関係します。
人物だけを浮き立たせて背景をぼかすのか、人物と背景の双方を明瞭に見せるのか。撮影者は必要な被写界深度を考えて絞りを決めます。
「アイリス」と「絞り」
映像制作の現場では「絞り」と「アイリス」は、ほぼ同じ意味で使われます。
「アイリスを開ける」「少し絞る」「オートアイリス」といった言い方をします。
厳密には、アイリスはレンズ内部で開口径を変える機構を指し、絞りはその機構や操作、開口の程度などを含めて使われる日本語ですが、実際の撮影現場では明確に区別されないことが一般的です。
映像制作の現場から
動画撮影では、絞りだけで露出を決めない
静止画では、露出に応じてシャッタースピードを大きく変えることができます。
いっぽう動画では、フレームレートとの関係からシャッタースピードを一定範囲に保つ必要があります。
一方、絞りについても、明るいからという理由だけでF値を大きくすると、意図した被写界深度が得られなくなります。
そこで、屋外など光量の多い環境ではNDフィルターで入射光そのものを減らし、希望するシャッタースピードと絞りを維持して撮影する方法が使われます。
つまり動画撮影では、
絞り=明るさを調整するもの
だけではなく、
絞り=被写界深度を決める表現上の要素
として考える必要があります。
最終更新日
2026年8月5日 5:48:24

