とり
「とり」は、映像・放送・芸能の現場で複数の意味に使われる言葉です。文脈によ って「撮り」「録り」「トリ」などと表記されます。
映像制作では「撮影」、ラジオなど音声収録の現場では「録音」、興行では「最後に出演する人」、出演料の話では「手取り額」を指します。
撮影の「撮り」
映像制作では、撮影することを略して「撮り」と言います。
たとえば、
「撮りはいつですか」
「来週が本番撮りです」
「午前中に商品撮りをします」
といった使い方をします。
撮影そのものだけでなく、撮影日や撮影工程を指して「撮り」と言うこともあります。
「物撮り」「人物撮り」「追加撮り」「再撮り」など、他の言葉と組み合わせて使われることも多い言葉です。
録音の「録り」
音声収録の現場では、録音することを「録り」と言うことがあります。
ラジオ番組の制作では、番組を録音することや、その録音日程を「録り」と呼ぶことがあります。
たとえば、
「この番組の録りは木曜日です」
「ナレーション録りは午後からです」
といった使い方です。
映像制作でも、「ナレーション録り」「音声録り」などの表現は使われています。
最後に出演する「トリ」
演芸、音楽、イベントなどでは、その日の最後に出演する人やグループを「トリ」と呼びます。
「今日のトリを務める」
「このバンドがフェスのトリです」
といった使い方です。
この「トリ」は、もともと寄席で使われていた言葉です。
昔の寄席では、最後に出演する主任格の芸人が、その日の興行収入から寄席側の取り分を除いた金額を受け取り、各出演者に「割り」として分配していました。この「取る」ことから、最後の出演者を「トリ」と呼ぶようになったとされています。
現在では落語に限らず、コンサート、音楽フェス、テレビ番組、イベントなどで「最後を務める出演者」という意味で広く使われています。
映像制作の現場から
ギャラの「トリ」
出演料や報酬の話では、「トリで○万円」という言い方があります。
この場合の「トリ」は、本人が最終的に受け取る正味の金額、手取り額を指します。
たとえば、「ギャラはトリで5万円」と言えば、源泉徴収などを差し引いた後、出演者本人が受け取る金額を5万円とする意味で使われます。
報酬を税引き後の手取額で決める契約は、税務上も「手取契約」として扱われます。源泉徴収が必要な報酬では、希望する手取額から逆算して支払金額と源泉徴収額を計算します。
制作現場では、税金だけでなく交通費、宿泊費、事務所手数料などを含めるかどうかによって、「トリ」の意味する範囲が変わることもあります。
そのため実際の出演交渉では、
「5万円は税込みですか」
「源泉込みですか」
「交通費は別ですか」
「本人のトリはいくらですか」
というように、金額の条件を確認します。
最終更新日
2026年10月16日 16:43:45
閲覧数 0

