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V(ブイ)

VTR(ブイティーアール)の略語です。

V(ブイ)を解説するイメージ(監修・神野富三)

では「VTR」とは何かというと → こちら「VTR」の頁をご覧ください。

映像制作会社としての視点


Vが意味するもの


VTRの略称として使われてきた「V」は、もともとビデオテープに記録された映像素材そのもの、あるいはそれを再生する行為を指す現場用語でした。テープが映像制作の前提だった時代には、「Vを回す」「Vを見る」という言い回しは、文字どおりテープデッキを操作して映像を再生・確認する行為と結びついていました。


しかし現在の制作現場では、映像はテープではなく、ファイルとして収録・編集・送出されます。記録媒体はHDDやSSD、サーバー、クラウドへと置き換わり、編集もノンリニアが前提になりました。それでも現場の会話の中から「V」という言葉だけは消えずに残っています。これは、VTRという機材や媒体を指す言葉だった「V」が、次第に「映像そのもの」を指す抽象的な言葉へと意味を変えていった結果です。


現在使われる「V」は、特定のフォーマットや機材を示していません。

「あとでVを確認します」「次はVを流します」といった言い方に含まれるVは、テープでもディスクでもファイルでもなく、単に「再生される映像」「確認対象となる映像素材」という意味です。

さらに、生放送やイベントの現場では、「生」に対する言葉として「V」が使われ、事前に収録された映像素材を指す対義語の役割も担っています。


このように現在の「V」は、技術的な実体を持つ用語ではなく、現場の進行や意思疎通を円滑にするための慣用表現です。VTRという前提が消えた後も、「映像を指す短い言葉」としての利便性だけが残り、意味を抽象化しながら使い続けられているのが、現在の「V」の実態だと言えます。

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わる

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