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クレーン(撮影)

クレーン(camera crane)は、長いアームの先端にカメラを取り付け、カメラ位置を上下・前後・左右へ大きく移動させるための撮影機材です。クレーンを使った撮影、またはそのカメラワークを「クレーンショット」と呼びます。

クレーン撮影のイメージ

映画、テレビドラマ、CM、音楽ライブ、スポーツ中継、イベントなどで古くから使われてきた代表的な撮影用特殊機材(特機)のひとつです。



クレーンの仕組み


基本的な構造はシーソーに似ています。

支点から伸びたアームの一方にカメラを載せ、反対側にカウンターウェイトを置いてバランスを取ります。大型のクレーンには、カメラだけでなくカメラマンや助手まで乗り込むものもあります。

現在は、アームの先端にカメラとリモートヘッドを取り付け、離れた場所からパン、ズーム、フォーカスなどを操作する方式も一般的です。

比較的小型のものは「ジブ」「ジブアーム」などと呼ばれます。



クレーンによるカメラワーク


カメラを上方へ移動させる動きを「クレーンアップ」、下方へ移動させる動きを「クレーンダウン」と呼びます。

クレーンの動きは単なる上下動ではありません。

支点を中心にアームを動かせば、カメラは上下すると同時に前後方向にも移動します。さらにアーム自体を旋回させたり、カメラのパンやチルトを組み合わせたりすることで、カメラを三次元空間の中で自由度高く移動させることができます。


また、クレーンそのものをドリーに載せ、レール上を移動させながら撮影することもあります。こうなると、クレーンの昇降・旋回にドリー移動が加わり、非常に複雑で大きなカメラワークが可能になります。


クレーンは「カメラを高い位置へ上げる機材」というより、カメラを三次元空間の中で大きく移動させるための撮影機材と考えた方が、その特徴をよく表しています。



クレーン撮影の安全管理


クレーンは、長いアームの先にカメラを取り付け、その反対側に重量のあるカウンターウェイトを載せて大きく動かす機材です。

したがって、撮影技術以前に安全な設置と操作が求められます。

機材の組み立て、ウェイトとバランス、設置面の強度や水平、アームの可動範囲、レールを使用する場合の敷設状態、周囲の人や構造物との距離など、確認すべき項目は少なくありません。

クレーン操作は、機材について十分な研修・講習を受け、実地経験を積んだスタッフが担当すべき仕事です。経験のないアルバイトスタッフなどに、現場で操作方法だけを教えて任せるような機材ではありません。

映像制作の現場から


クレーンを使えば、人物の目線ほどの高さから一気に上昇して広大な風景を見せたり、高所から下降しながら一人の人物へ近づいたり、ドリーしながらクレーンアップするといった、ほかの撮影方法では難しいダイナミックな映像を撮ることができます。

その一方で、長いアームと重量物を動かす以上、事故が起きた場合の危険も大きくなります。

特にコンサートやイベントでは、クレーンのアームやカメラヘッドを観客席の上まで張り出して撮影することがあります。

私は、こうした撮影については、単に「十分注意して操作する」という問題ではないと考えています。

重量のあるカメラヘッドやアームを、不特定多数の観客の頭上で動かす撮影そのものについて、安全基準や規制をより明確にする必要があるのではないでしょうか。

最終更新日

2026年8月29日 16:46:22

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わりながら

​ビジネス映像制作のノウハウを伝承する「名古屋映像設計研究所」を主宰

 執筆者ブログ「映像制作ガイドブック」

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