Log撮影(ログサツエイ)
カメラが捉えた広い明るさの情報を、できるだけ失わずに記録 するための撮影方法です。映像信号をLogガンマで記録することで、明るい部分から暗い部分まで、広いダイナミックレンジを残します。
Logガンマとは
Logガンマとは、カメラが捉えた明るさを、映像の中でどのような明るさの階調として記録するかを決めるγ曲線の一種です。
通常の撮影用ガンマでは、撮影した映像がそのままモニターで自然に見えることを重視して階調を配分します。そのため、撮影時点で表示に適したコントラストがついた映像になります。一方、Logガンマでは、撮像素子が捉えた広いダイナミックレンジを、限られた記録範囲の中に収めることを優先します。
そのため、通常の撮影用ガンマに比べて、明るい部分ほどγ曲線の傾きが緩やかになります。
被写体がさらに明るくなっても、記録上の明るさが急激には上がらず、ゆっくりと上がっていきます。
つまり、Logガンマでは明るい側のカーブを寝かせることで、本来なら記録上限に達して白飛びしてしまう高輝度部分まで、より広い範囲の階調を残すことができます。
通常の撮影では、撮像素子が捉えた明るさの情報を、表示に適した範囲へ変換する過程で、明るい部分や暗い部分の細かな階調の一部が圧縮されたり失われたりします。Log撮影では、こうした情報をできるだけ残し、後の編集やカラーグレーディングで利用できるように記録します。
なぜLog映像は白っぽく見えるのか
Log撮影した映像をそのまま見ると、明部と暗部の差が小さく、コントラストの低い映像に見えます。色も薄く感じられるため、全体として白っぽい「眠い画」に見えることがあります。初めてLog撮影の素材を見た人は「露出を失敗しているのではないか」と感じることがあります。
しかし、これはLog映像としては正常な状態です。Log撮影では、撮影した時点で完成した見た目にすることよりも、後の工程で調整できる階調情報を多く残すことを優先しています。特に、逆光、窓のある室内、屋外と室内が同時に写る場面など、明るい部分と暗い部分の差が大きい撮影で有効です。通常の撮影では白飛びや黒つぶれが起きやすい場面でも、Log撮影ではより多くの階調を残せる場合があります。
代表的なLogには、SonyのS-Log、CanonのCanon Log、PanasonicのV-Log、ARRIのLogCなどがあります。
映像制作の現場から
Log素材を受け取ったら
Log撮影された素材を受け取った場合、まず確認したいのは、どのLogで撮影されたかです。
Logはメーカーやカメラによって特性が異なります。同じメーカーでも複数のLog方式があり、色域の設定も異なる場合があります。可能であれば、
カメラの機種
Logの種類
色域
撮影時の記録設定
を確認します。
何のLogか分からないまま、見た目だけで判断して補正するのは避けたほうが安全です。
LUTを使って確認する
*LUT=Look-Up Table 参照表、変換表という意味
Log素材は、そのままでは完成映像としての見た目になっていません。
そのため、対応するLUTを適用したり、Premiere ProやDaVinci Resolveなどのカラー管理機能を使ったりして、Rec.709などの通常の表示環境に近い状態で確認します。
Log素材そのものを別の映像データへ変換してしまうのではなく、編集や確認のために一時的にLUTを作用させ、通常の映像に近い見た目で表示するという意味合いを持っています。
元のLog素材はそのまま保持されるため、LUTを外したり、別のLUTに変更したりすることができます。
Log素材が白っぽく見えるからといって、いきなりコントラストや彩度を大きく上げるのは適切ではありません。まず、そのLogに対応した変換を行い、そのうえで露出、ホワイトバランス、色、コントラストなどを調整します。
Log撮影とカラーグレーディング
Log撮影は、一般的にカラーグレーディングを前提とした撮影方法です。
Logで記録した映像には、通常の撮影よりも後から調整に使える階調情報が多く残っています。そのため、明るさ、コントラスト、色調、肌の色、ハイライトやシャドウなどを、後工程で細かく調整できます。映画、CM、ドラマ、企業映像など、撮影後に映像のトーンを作り込む制作では、Log撮影が広く使われています。
一方で、Logで撮影すれば自動的に高画質になるわけではありません。露出を大きく外したり、適切な変換を行わなかったりすれば、ノイズが目立ったり、十分な階調を活かせなかったりすることもあります。
Log撮影は「色を薄くして撮る方法」ではありません。
その本質は、撮像素子が捉えた広い明るさの範囲を、γ曲線によって限られた記録範囲の中へ収めることにあります。特に、通常の撮影用ガンマよりも明るい側のカーブを寝かせることで、白飛びするまでの範囲を広げています。通常の撮影では、撮影時点で表示に適した階調へ変換するため、明部や暗部の情報の一部が失われます。
Log撮影では、その情報を後工程まで残すことを優先します。
そのため、撮影直後の映像は完成映像としては見栄えがしません。しかし、その「眠い画」の中に、後から使える明部や暗部の階調が残されています。Log撮影とは、撮影時に完成した画を作るのではなく、撮影後の工程まで含めて映像を仕上げるための記録方法です。
最終更新日
2026年10月16日 16:43:45
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