POV(ピーオーブイ)
Point of Viewの略で直訳すれば「視点」ですが、日本の映像用語では「主観映像」と理解されています。
映像用語におけるPOVは、特定の人物や主体が見ている方向・対象を、その人物の視点位置から見せる表現を指します。カット割りでは「POVショット」という言い方が使われます。
たとえば、登場人物が机の上の写真を見るカットに続いて、その人物の目線位置から写真を映した場合、後者がその人物のPOVショットです。
POVでは、「誰が見ている画なのか」という視点の帰属が必要です。
その人物の顔が必ず画面に出る必要はありません。前後のカットや人物の動作、視線などによって、どの人物の視点なのかが分かればPOVとして成立します。
また、視点の人物が誰なのかを意図的に明かさない表現もあります。サスペンス作品などで、廊下を歩きながら周囲を見ているPOV映像だけを見せ、その人物の正体を伏せるような使い方です。この場合も、(誰かはわからなくても)人の視点であることが示されていればPOVとして扱うことができます。
SNSで使われるPOV
TikTokやYouTubeなどでは、「POV」という言葉が映画用語より広い意味で使われています。
「POV:あなたが新入社員だったら」
「POV:深夜のコンビニ店員」
といった使い方では、厳密なカメラ位置を示すというより、「その人物の立場や状況を疑似体験する」という意味になっています。これは、本来のPoint of Viewが持つ「視点」という意味から派生した使い方です。
映像制作の現場から
POVと「主観映像」
日本では、POVショットに相当する表現を「主観映像(ショット)」と呼ぶことがあります。
ただし、POVと主観ショットは、技術的には同じですが、言葉の意味としてはニュアンスがあります。
Point of Viewは、文字どおり「視点」です。映像では「その人物がどこから何を見ているか」という、人物とカメラとの位置関係を示します。
一方、「主観ショット」という日本語は、視聴者に対して「その人物の目を通した映像体験を提示する」という意味を含む場合があります。
POVショット=登場人物の視点から見たショット
主観ショット=登場人物の目になって見るショット
実際の映像表現としては同じショットを指すものの、英語のPOVは、制作者が視聴者に「視点の位置」を示すのに対して、日本語の「主観ショット」は、その視点が視聴者自身の視点にも重なることを踏まえた概念です。
一人称視点との違い
POVは、一人称視点と同じ意味で使われることもありますが、必ずしも同義ではありません。
映画のカット割りでは、通常の客観ショットの中に、一時的に登場人物のPOVショットが挿入されることがあります。この場合、作品全体が一人称視点になるわけではありません。
一方、ゲームやSNS動画では、映像全体を人物自身の視界として構成する表現をPOVと呼ぶことが多く、「一人称視点」に近い意味で使われています。
最終更新日
2026年10月16日 16:43:45
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