top of page

スチール

映像(ムービー)の対語として、ムービー業界でのみ使われる「写真」ないしは「写真カメラマン」を意味する呼び名です。(詳細は以下)

スチールを解説するイメージ(監修・神野富三)

劇場映画、テレビ番組のプロモーション目的だけでなく、我々企業映像においても、新商品のリリースに際して行われるPR映像やCMムービー収録では、せっかくの撮影機会(商品の準備だけでなく、さまざまな調達物や社内調整が必要であるため)なので、この機会に写真素材の撮影も行うことが多々あります。

映像制作会社としての視点


「スチール」という呼び名に隠れるムービー現場の事情


写真とムービーは「撮影思想」が違う


映像制作の現場では、ムービー撮影とスチール撮影が同時に行われることがあります。
しかし、写真カメラマンとムービーカメラマンでは、特に照明の考え方や撮影テンポに違いがあり、ムービーの香盤表の「合間にスチールを少し撮る」という進行が、実際には成立しないケースも少なくありません。結果として、スチール撮影が押し、全体の制作進行に影響が出ることもあります。



「直前に知らされる」ことが摩擦を生む


スチール撮影が入ることを代理店やクライアントから直前に知らされるケースもあり、ムービー撮影班の視点では、十分な調整ができないまま現場を迎えることになります。
そのため、かつてはスチール撮影の同時進行が、必ずしも歓迎されるものではありませんでした。



技術進化が生んだ変化


近年では照明機材やカメラの高感度化が進み、スチールカメラマンがムービー撮影も兼ねるケースも増えています。こうした技術環境の変化により、かつてほど強い摩擦が生じにくくなってきているのも事実です。



現場ルールの未共有がトラブルを生む


一方で、現場での配慮やルールが共有されていない場合、トラブルにつながることもあります。
分譲マンションのPRビデオ撮影の現場では、昼休みの時間帯に別手配のスチール撮影が入り、床を傷つけてしまった事例がありました。ムービー班では三脚の脚にカバーを付けるなどの配慮をしていましたが、そうした注意点が現場全体で共有されていなかったため、結果的に責任の所在が曖昧なまま処理されてしまいました。



ムービー主導の現場構造という現実


ムービーとスチールを同時に撮影する場合、タレントや衣装、スタイリスト、撮影小物の手配、香盤表の作成など、撮影準備の多くはムービー側が主導することが少なくありません。
だからこそ、スチールも含めた全体の段取りや現場ルールを事前に共有し、両者が同じ前提で動ける環境を整えることが重要です。



対立ではなく「相乗り設計」を


ムービーとスチールは、本来は対立する関係ではありません。同じ現場に立つ以上、役割や制約の違いを前提にした設計と調整こそが、現場を円滑に回すための現実的な解決策です。

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わる

bottom of page