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ボイスオーバー

日本の映像制作では外国語の原音を小さく残し、その上に翻訳音声を重ねる方法を指すのが一般的です。ただし英語の “voice-over” は、ナレーションなどを含む、もっと広い意味を持つ言葉です。

ボイスオーバーを説明している画像

日本でいう「ボイスオーバー」と英語の voice-over


ニュース番組やドキュメンタリーで、外国人が話し始めた直後から原音が小さくなり、日本語の声が重なって聞こえてくることがあります。

日本の映像制作現場では、このような音声処理を一般に「ボイスオーバー」と呼びます。

吹き替えでは、原語の台詞を別言語の台詞へ置き換えます。


これに対してボイスオーバーでは、本人の声を消さず、その音量を下げた上に翻訳音声を重ねます。ただし、英語の voice-over は本来、この翻訳手法だけを指す言葉ではありません。映画やテレビでは、画面上の人物の直接的な発話とは別に聞こえる語り手の声、ナレーション、登場人物の内心の声などもvoice-overと呼ばれます。


したがって、voice-over=外国語に翻訳音声を重ねることと定義してしまうと、本来の英語より意味を狭くしてしまいます。日本の映像制作では、voice-overという広い概念のうち、外国語インタビューなどへ翻訳音声を重ねる方法が「ボイスオーバー」として定着した、と理解するのがよいでしょう。

映像制作の現場から


なぜ外国人インタビューではボイスオーバーを使うのか


企業映像でも、海外本社の経営者、外国人研究者、海外拠点の社員などのインタビューを日本語化することがあります。このときボイスオーバーには、字幕吹き替えとは違った利点があります。


たとえば外国人技術者が話し始める。最初の一瞬は本人の声をそのまま聞かせる。その後、原音のレベルを下げ、日本語の翻訳音声を重ねる。そして日本語を少し早めに終え、最後に再び本人の声を聞かせる。こうすると、日本語で内容を理解しながら、本人の声、話し方、感情、現場の空気も感じることができます。


また、吹き替えのように口の動きへ厳密に合わせる必要がないため、翻訳の自由度も比較的高くなります。ただし、日本語が原語を完全に覆ってしまえば、本人の声を残した意味が薄れます。逆に原音が大きすぎれば、日本語が聞き取りにくくなります。


重要なのは単なる音量調整ではなく、「本人が話している」という実在感をどの程度残すか

という音声演出です。


吹き替えが声を替える方法なら、日本の映像制作でいうボイスオーバーは元の声を残しながら、理解のための声を加える方法です。

この違いを知っておくと、海外インタビューを日本語化するときの表現方法を、単なるコストの違いではなく、映像の目的に応じて選べるようになります。

最終更新日

2026年8月24日 15:43:53

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わりながら

​ビジネス映像制作のノウハウを伝承する「名古屋映像設計研究所」を主宰

 執筆者ブログ「映像制作ガイドブック」

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