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クローズアップ

カメラで被写体やその一部に非常に近づき、画面いっぱいに大きく映すことを指す言葉ですが、日本では通常の「アップ」と同義であったり、更に寄ることを指したり、使う人や状況によってニュアンスがあります。

クローズアップを解説するイメージ(監修・神野富三)

日本における「アップ」と「クローズアップ」


アップ (Up shot / US)

主に人物の顔全体から肩あたりまでを画面いっぱいに大きく映すショットを指します。
ズームアップ」や「クローズアップ」も、結果的に被写体を「アップ」で写す行為なので、広い意味で「アップを撮る」という言葉が使われます。

クローズアップ (Close-up / CU)

「アップ」よりもさらに寄って、人物の顔の特定のパーツ(目、口など)や、物の細部を画面いっぱいに映すショットを指します。「接写」や「大写し」といった意味合いが強く、細部や質感、あるいは強い感情を強調したい場合に用いられます。


英語圏における「クローズアップ」



Close-up (CU)

人物の肩から上、あるいは顔全体を写すショットを指します。日本の「アップ」に近い意味合いです。さらに寄ったものは「Extreme Close-up (ECU)」や「Tight Close-up」などと細分化されることもあります。


Medium Close-up (MCU)

これはミディアムショット(腰から上)とクローズアップの中間、つまり胸から上を映すショットを指します。


背景


日本では、より詳細なショットサイズ(ロング、ミディアム、アップ、クローズアップなど)を区別して呼ぶ習慣があります。一方、海外では「Close-up」が比較的広範囲をカバーし、必要に応じてさらに細かく分類するという考え方が一般的です。


映像制作会社としての視点


高精細なハイビジョン(HD)から4K、さらには8Kへと解像度が飛躍的に向上したことで、映像制作におけるショットサイズの常識は劇的に変化しています。


クローズアップから「引き」の映像へのシフト


かつての標準画質(SD)時代は解像度が低かったため、視聴者に表情やディテールを伝えるには、人物の顔に寄るクローズアップが多用されました。しかし、4Kなどの高精細なモニターでは、引きの映像(ロングショットやフルショット)であっても、人物の表情や衣装の質感がつぶれることなく鮮明に描写されます。これにより、広大な風景の中に人物を配置するような、空間の広がりと個人の感情を同時に描く「引きの表現」が積極的に採用されるようになりました。



ショットサイズの大型化と「寄り」の回避


モニターが大型化し、高精細になった現代では、画面いっぱいのクローズアップは視聴者に「圧迫感」や「過剰な情報量」を与えてしまうことがあります。タレントの化粧が際立ったりするのがその典型です。

そのため、以前なら「バストショット」で撮っていたシーンを、一回り大きい「ウエストショット」で捉えるといった、少しゆとりのあるショットサイズが選ばれる傾向にあります。高解像度であれば、少し引いたサイズでも視聴者の視線を十分に誘導できるため、画面内の「抜け」を活かした余裕のあるフレーミングが可能になったのです。



「抜け」に含まれる情報密度の向上


背景を指す「抜け」の重要性も、解像度の向上とともに増しています。4Kコンテンツでは背景の隅々までピントが合っているように見えたり、ボケていてもその質感がリッチに伝わったりするため、背景にある小道具や景色そのものが物語を語る重要な要素となります。かつては単なる「背景」として処理されていた空間が、高精細化によって「主役と対等に情報を発信する空間」へと昇格し、その結果として、背景を広く取り入れたワイドなショットサイズが好まれるようになりました。



視聴デバイスの多様化による二極化


一方で、スマートフォンという小さな画面での視聴が普及したことで、ショットサイズは二極化しています。4Kの大画面テレビ向けには「贅沢な引きの映像」が作られる一方で、スマホ向けには「極端なクローズアップ」が求められるという現象です。現代の制作者は、高精細モニターでの美しさを追求しながらも、小さな画面で見た際にも意図が伝わるよう、ショットサイズの選択においてかつてないほど繊細なバランス感覚を求められています。


解像度の進化は、単に「綺麗になった」だけでなく、撮影の基本である「どのくらいの大きさで撮るか」という演出に影響を及ぼしています。


執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わる

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