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ホリゾントとは

撮影スタジオに設けられる、壁面と床面を連続した曲面(R)でつないだ背景構造です。壁と床の境界線が生じないため、背景を無限に続く空間のように見せることができます。白く塗装したものは「白ホリ」と呼ばれ、商品撮影や人物撮影などで広く使われています。

白ホリゾントのスタジオの様子

英語の horizon(地平線・水平線)、ドイツ語の Horizont に由来する言葉で、舞台や撮影の背景として使われてきました。



なぜ壁と床の境目が丸い?


一般的な部屋では、壁と床が直角に交わります。そのまま撮影すると境界に線や影が生じ、「壁の前で撮影している」ことが分かります。ホリゾントでは、この境界部分を大きな曲面(R)でつなぎます。

照明を適切に当てると壁と床の境界が分からなくなり、背景がどこまでも続いているように見せることができます。人物や商品だけを背景から切り離して見せたいCM、商品紹介、企業映像、ファッション撮影などで広く使われています。



白ホリとは?


もっとも一般的なのが、ホリゾント全体を白く仕上げた「白ホリ」です。

白い背景として撮影するだけでなく、照明の当て方によって明るさや色を変えることもできます。背景への照明を抑えればグレーから暗い背景として見せることも可能です。そのため白ホリは、撮影者が光によって自由に空間をつくるための何もない背景と考えることができます。



1面ホリ・2面ホリ・3面ホリ


ホリゾントは形状によって呼び分けられることがあります。

1面ホリは正面の壁と床を曲面でつないだものです。

2面ホリは正面に加えて左右どちらかの壁まで連続したホリゾントになっています。斜め方向から撮影しても背景の端が入りにくくなります。

3面ホリは正面と左右の壁、床までが連続した構造です。カメラアングルの自由度が高く、大人数や大型商品、自動車などの撮影にも適しています。

大型スタジオでは、ホリの幅や高さだけでなく、カメラをどこまで後ろへ引けるか、照明をどの高さから吊れるかも重要になります。



ホリゾントは白とは限らない


ホリゾントという言葉自体は白色を意味しているわけではありません。

黒く仕上げた「黒ホリ」のほか、グリーンやブルーにしてクロマキー合成に使用する場合もあります。

また、常設のホリゾントを塗り替えて撮影することもあります。CMなどでは、美術や照明の設計に合わせてホリ全体を指定色に塗装し、撮影終了後に元の白へ戻すことも行われます。



ホリゾントと背景紙は何が違う?


小規模な撮影では、背景紙をスタンドなどから垂らし、そのまま床まで伸ばしてホリゾントのように使うことがあります。写真や人物のバストショットなどでは十分な場合も多く、近年増えている小規模なプライベートスタジオでもよく使われます。

一方、常設ホリゾントには継ぎ目がなく、広い範囲を撮影できます。人物の全身、大人数、大型商品、カメラを動かす撮影などでは大きな違いが出ます。

映像制作の現場から


白ホリは塗り直して使う


白ホリスタジオを利用する場合は、ホリゾントの塗り直し費用が問題になります

白ホリの床は、人が歩いたり、撮影機材を置いたりするだけでも汚れます。靴跡やタイヤ跡が付くこともあり、真っ白な背景として撮影する場合には、その汚れが映像や写真に見えてしまいます。そのため撮影前にホリゾントを白く塗り直すことがあります。


貸しスタジオでは、スタジオ使用料とは別に「ホリ塗り」「白ホリ塗装」などの料金が設定されていることがあります。全面を塗る場合だけでなく、床面だけ、使用した範囲だけといった料金設定をしているスタジオもあります。

また撮影の演出としてホリゾントを別の色に塗装する場合には、撮影後に元の白へ戻すための塗装費が必要になることがあります。

大型のホリゾントになると塗装する面積も大きく、塗料代だけでなく作業費や乾燥時間も必要です。したがって、スタジオを手配するときには、時間単価だけでなく、ホリゾントの塗装費や原状復帰費まで含めて撮影費を考える必要があります。


白ホリは、いつでも真っ白な状態で用意されている背景ではありません。撮影に必要な白さを維持するために、補修や塗装を繰り返しながら使われている撮影設備です。


最終更新日

2026年9月19日 10:06:15

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わりながら

​ビジネス映像制作のノウハウを伝承する「名古屋映像設計研究所」を主宰

 執筆者ブログ「映像制作ガイドブック」

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