スタジオとは
一般的には非常に広い範囲で、創作や制作を行うために設けられた仕事場のこと指して使われま す。映像業界においても撮影スタジオだけでなく、種々な業務を行う場所を指す言葉として使われています。
「スタジオ」という言葉は、特定の設備や建物を意味するものではなく、広く「制作や表現を行うための場所」という意味で使われています。
写真家が撮影するフォトスタジオ、音楽を収録するレコーディングスタジオ、画家やデザイナーなどが制作を行うスタジオがあります。ダンスやバレエなどでは練習やレッスンを行う場所をスタジオと呼びます。
建築、デザイン、ゲーム、アニメーション、CGなどの分野では、制作する場所だけでなく、制作会社やクリエイター集団そのものが「スタジオ」を名乗ることもあります。
映像業界でいうスタジオとは?
映像業界は、目的の異なるさまざまな場所をスタジオと呼びます。
最も分かりやすいのが撮影スタジオです。
撮影スタジオでは、照明、背景、美術などを撮影目的に合わせてつくることができます。実際に存在する場所の条件を利用して撮影するロケーション撮影に対して、撮影に必要な環境そのものをつくる場所です。いわば、映像をつくるための「工作室」です。
白ホリスタジオ
壁と床の境界を緩やかな曲面でつないだホリゾントを持つスタジオです。白く塗装されたものは「白ホリ」と呼ばれ、人物、商品、CM、企業映像など幅広い撮影に使われます。
大型になると、照明を吊るバトン、大容量電源、美術セットを組むための空間、大型の搬入口などを備えます。
同録スタジオ
映像と出演者の声を同時に収録できるスタジオです。
外部からの騒音を遮断するだけでなく、空調や換気など設備から発生する音も抑える必要があります。インタビュー、ドラマ、商品説明など、出演者の声を撮影と同時に収録する場合に使われます。
ハウススタジオ
住宅、オフィス、店舗など、実際の生活空間に近い環境で撮影できるスタジオです。
実在する住宅などを撮影用として貸し出すものから、撮影を目的としてさまざまな部屋や背景を用意した施設まであります。
商品・自動車などの専用スタジオ
商品撮影など特定の用途に合わせて設計されたスタジオもあります。
自動車撮影用の大型スタジオでは、車両搬入口、大きなホリゾント、長い撮影距離などが必要になります。車を載せたまま回転させるターンテーブルを備えた施設もあります。
クロマキー・バーチャルプロダクションスタジオ
グリーンやブルーの背景で人物などを撮影し、後から背景を合成するクロマキースタジオは以前から使われています。
近年では、大型LEDウォールにCGや実写背景を表示して撮影するバーチャルプロダクションスタジオも登場しました。LEDウォールを背景として使うだけでなく、そこから発する光や映り込みまで撮影に利用できます。
テレビ・配信スタジオ
テレビ局のスタジオでは、美術セット、照明、複数のカメラ、音声設備などを組み合わせ、番組を収録・放送します。
近年増えているのが、YouTube、ウェビナー、ライブコマースなどを目的とした配信スタジオです。カメラ、照明、マイクに加え、スイッチャー、配信用コンピューター、通信回線などを備え、その場から映像を配信できます。
音声・編集のスタジオ
映像を撮影しない施設にも「スタジオ」という名称が使われます。
ナレーションやアフレコを収録するスタジオ、映像にナレーション、音楽、効果音などを加えて音を仕上げるMAスタジオがあります。
映像を仕上げる場所を編集スタジオと呼ぶこともあります。かつては高価な専用機器を備えた編集スタジオが映像制作工程の重要な設備でしたが、コンピューターによる編集が一般化し、その姿は大きく変わりました。
映像制作の現場から
小さなプライベートスタジオが増えている
近年の映像制作で目立つ変化のひとつが、小規模なプライベートスタジオの増加です。
以前、本格的な映像撮影には大型のカメラ、照明、録音機器などが必要でした。現在ではカメラも照明も大幅に小型化し、LED照明の普及によって消費電力や発熱も小さくなりました。高価な専用設備がなくても、一定水準の映像を撮影できるようになっています。
同時に、映像を使う場所も増えました。
企業のWebサイト、YouTube、SNS、ECサイト、採用活動、社内教育、オンラインセミナー、ライブ配信など、テレビCMや大規模な企業映像とは異なる映像が日常的に制作されています。
そのため、大きな貸しスタジオを必要なときだけ借りるのではなく、オフィスや事業所の一角に小さな撮影スペースを設ける企業も増えています。
背景紙や簡単な白ホリ、数灯のLED照明、カメラ、マイクがあれば、商品説明、インタビュー、YouTube、ECの商品動画など多くの用途に対応できます。
映像制作会社や写真家、クリエイターが自社・個人用の小さなスタジオを持つことも珍しくありません。
スタジオを「所有する意味」も変わった
大型の貸しスタジオは、建物、空調、大容量電源、照明設備など大きな固定費を必要とします。利用者へ場所を時間貸しするだけでは、十分な稼働率を確保することが難しい場合があります。
一方、継続的に大量のコンテンツを制作する事業では、自社スタジオを持つ意味があります。
代表的なのがテレビ通販です。
商品を仕入れ、企画し、撮影し、放送・配信し、販売する。その一連の工程の中にスタジオがあります。この場合、スタジオそのものを貸して利益を得る必要はありません。商品を販売するための「生産設備」です。
商品カタログ、取扱説明書、ECサイトなどを大量に制作する事業でも同じことがいえます。
商品が届けばすぐに撮影し、静止画、動画、説明素材などを制作して各媒体へ展開する。こうなるとスタジオは「撮影する場所」というより、コンテンツを量産する制作ラインの一部になります。
最終更新日
2026年9月17日 10:09:11

