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板付き

シーンの冒頭から出演者がすでに画面内に存在している状態を指します。まるで絵画のように、静止画から動き出すような印象を与える手法です。ドラマや映画、CMなど、様々な映像作品で活用されています。

板付きを解説するイメージ(監修・神野富三)

1. 板付きの効果


  • 物語への引き込み: 静止画から動き出すことで、視聴者の注意を一気に画面に集中させ、物語の世界観へスムーズに引き込むことができます。

  • キャラクターの深掘り: 人物の表情や仕草をじっくりと見せることで、キャラクターの心情や背景を深く理解させることができます。

  • 雰囲気の醸成: 静寂な空間や緊張感のある場面など、特定の雰囲気を演出したい場合に効果的です。



2. 板付きの注意点


  • 自然な演技: 静止画から動き出す瞬間が不自然にならないよう、役者には細心の演技が求められます。

  • 構図の美しさ: 静止画としての完成度も重要です。構図や照明にこだわり、美しい画面を作り出す必要があります。

  • 物語との整合性: 板付きが物語の流れと矛盾しないように、脚本との整合性を確認する必要があります。



3. 板付きの活用例


  • ドラマ: 主人公が朝起きた瞬間や、窓の外を眺めている様子など、日常的なシーンでよく使用されます。

  • 映画: 過去の回想シーンや、物語の重要な転換点で、キャラクターの心情を表現するために使用されます。

  • CM: 商品の世界観を表現するために、静止画から動き出すことで、印象的なビジュアルを作り出します。



4. 板付きの応用

  • スローモーション: 板付きの後にスローモーションを入れることで、よりドラマチックな印象を与えることができます。

  • ズームイン: 人物の顔にゆっくりとズームインすることで、視聴者の感情移入を促します。

  • 音響効果: 環境音や効果音を加えることで、より臨場感のあるシーンを作り出すことができます。



「板につく」と


同様に「舞台」に関連していて、未熟だった者が上手になってきたことを表す言葉として「板についた」とい言い方がありますが、「板付き」には「板についた(様になってきた)」という意味はありません。

映像制作会社としての視点


既に成立している状況の提示 

シーンが始まった瞬間に人物がそこにいることで、「この人物はここにいるのが当然である」という前提が成立します。オフィスのデスクに座っている社員、工場の機械の前に立つ技術者、会議室で待つ経営陣——彼らはそこに「属している」存在として提示され、観客はその人物と場所の関係性を即座に受け入れます。


時間の圧縮 

その人物が「既にしばらくそこにいた」ことを暗示します。会議が始まる前から座っている人物、開店前から店内にいる店主——これらは時間の経過を説明なしに伝え、物語や状況に厚みを与えます。登場シーンを省略することで、本来描きたい瞬間に直接入れます。


ビジネス映像での応用例

企業紹介映像で、工場の現場を映す際、作業員が既に機械を操作している状態から始めれば、「日常の一場面」として自然に受け取られます。もし作業員が歩いて入ってきてから作業を始めると、それは「演出された作業」に見えてしまいます。

経営者インタビューでも、カメラが回り始めたときに既に椅子に座っている状態から始めることで、落ち着いた、準備の整った印象を与えます。逆に、歩いて入ってきて座る様子を映すと、その動作自体が余計な情報になり、視聴者が受け取る情報が分散します。

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わる

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