PL(偏光)フィルター
ビデオ撮影におけるPLフィルター(偏光フィルター)は、主にガラス、水面、塗装面、葉などに生じる反射光を抑えたり、その反対に反射を意図的に残したりするためのフィルターです。写真と原理は同じですが、動画では少し注意点があります。
ビデオ撮影での基本的な使い方
レンズの前にPLフィルターを装着し、フィルターの前枠を回転させながらモニターを見て効果を決めます。
たとえばショーウインドー越しに人物を撮る場合、ガラスには空や撮影者、周囲の風景が映り込みます。PLを回していくと、ある角度でその映り込みが弱くなり、ガラスの向こう側が見えやすくなります。
水面でも同様です。水面の反射を抑えて水中を見せたり、逆に回転位置を変えて水面の輝きを残したりできます。
大切なのは、PLは「反射を消すフィルター」ではないことです。光の偏光成分を選択するフィルターなので、被写体・光源・カメラの位置関係によって効き方が変わります。特に太陽光では、太陽に対して約90度方向を撮影すると効果が強く現れます。
空を濃くするためにも使われる
屋外撮影では、青空を濃く見せる用途もあります。大気中で散乱した光の一部が偏光しているため、PLによってそれを減らすと青空の彩度が高く見えます。
ただし動画では、ここが要注意です。
広角レンズで空を大きく入れると、画面内で太陽との角度が大きく異なるため、空の一部分だけが不自然に濃くなることがあります。パンすると濃い部分が画面内を移動して見えることもあります。
したがって、風景写真では魅力的な「濃い青空」でも、動画ではPLを効かせすぎないほうがよい場合があります。
映像制作の現場から
商品・自動車撮影では非常に重要
企業映像ではむしろ、こちらの用途が重要でしょう。
自動車、機械、家具、商品パッケージなどには、照明や周囲の景色が映り込みます。PLを回すことでその反射の強さを調節できます。
ただし、金属そのものの鏡面反射にはPLが効きにくいという性質があります。塗装面、ガラス、樹脂などの非金属面からの反射には効果があります。
商品撮影では、照明側にも偏光フィルターを取り付け、レンズ側のPLと組み合わせるクロスポラライゼーション(交差偏光)という方法もあります。表面反射を大幅に抑え、物体本来の色や模様を見せるための方法です。
NDフィルターとは目的が違う
ビデオ撮影ではNDフィルターと混同しないことも重要です。
NDは光量を減らすもの。PLは偏光を選択するもの。
PLを装着すると結果として露光量も低下しますが、それをNDの代用品と考えるべきではありません。PLは回転させれば映像そのものの反射状態や色調が変化します。
また現在のビデオカメラやデジタルシネマカメラで使うなら、一般にはCPL(Circular Polarizer/円偏光フィルター)が扱いやすいでしょう。
最終更新日
2026年8月29日 16:44:08

