視聴者維持率とは
視聴者維持率(Audience Retention)とは、動画を再生した視聴者が、動画の各時点でどの程度視聴を継続してい るかを示す指標です。「リテンション」と呼ばれることもあります。
たとえば100人が動画の視聴を開始し、ある時点で60人が視聴を続けていれば、その時点の視聴者維持率は60%となります。
動画配信サービスでは、こうした視聴状況を時系列のグラフとして確認できるものがあり、どの部分で視聴者が離脱したのか、逆に繰り返し視聴された部分があるのかなどを分析できます。
視聴者維持率を意識した動画制作
Web上の動画コンテンツでは、視聴者維持率は重要な評価指標の一つとして扱われています。
特にYouTubeやSNSなどでは、視聴者が途中で離脱せず、できるだけ長く視聴することが重視されるため、企画や編集の段階から視聴者維持率を意識した制作が行われています。
代表的なのは、冒頭で視聴者の関心を引く「フック」を設ける、結論や重要な情報を早い段階で提示する、不要な間を削る、話のテンポを速くする、映像やテロップを頻繁に切り替える、といった方法です。
動画を短尺化することも、視聴完了率や視聴時間を考慮した制作方法の一つです。
また公開後のデータから離脱の多い箇所を確認し、次の動画では構成や尺、編集方法を変更するといった改善も行われます。
このように現在の動画制作では、視聴者維持率は完成後に確認するだけの数値ではなく、企画、構成、撮影、編集にも影響を与える指標となっています。
一方で、視聴者維持率を高めることと、その映像が本来の目的を達成することは、必ずしも一致しません。
視聴者維持率が示しているもの
視聴者維持率から直接分かるのは、「視聴者がどこまで視聴を続けたか」です。
その内容を理解したか、商品に興味を持ったか、企業への信頼が高まったか、視聴後にどのような判断をしたかまでは分かりません。
また、ある地点で視聴者が離脱したとしても、その理由を視聴者維持率だけから特定することはできません。
説明が長かったためかもしれません。
期待した内容と違ったのかもしれません。
あるいは、必要な情報を得たため、それ以上見る必要がなくなった可能性もあります。
したがって、視聴者維持率は映像の成果そのものではなく、視聴行動を観察するための指標の一つとして考える必要があります。
映像制作の現場から
企業映像では「誰が離脱したか」も重要
企業がWeb上で公開するPR映像では、できるだけ多くの人に最後まで視聴してもらうことが、常に最優先されるとは限りません。
特にBtoBの製品やサービスでは、対象となる業種、用途、企業規模、課題などが限定されることがあります。
その場合、映像の早い段階で対象や用途を明確にすれば、
「自社には関係がない」
と判断して視聴を終了する人も出てきます。
視聴者維持率だけを見れば離脱ですが、企業側から見れば、対象外の視聴者が適切に判断した結果でもあります。
反対に、その製品やサービスを必要としている人が視聴を続け、必要な情報を得て、問い合わせや商談など次の段階へ進んだのであれば、映像は目的を果たしていると考えられます。
企業のWebコンテンツには、情報を広く届ける役割だけでなく、閲覧者自身に「自分に関係する情報か」を判断してもらうスクリーニングの役割もあります。
映像も同様です。
そのため企業映像では、全視聴者の維持率だけでなく、想定した視聴者が必要な情報まで到達しているかという視点が必要になります。
視聴者維持率を制作の目的にしない
視聴者維持率を改善するために、映像を短くする、説明を削る、展開を速くするといった方法は有効な場合があります。
しかし、製品や技術を理解するために必要な説明まで削れば、視聴者維持率が改善しても、映像の目的を達成できない可能性があります。
逆に、ある程度の長さがあっても、対象となる視聴者が必要な情報を理解し、その後の行動につながるのであれば、その長さには意味があります。
視聴者維持率は、映像がどのように視聴されたかを検証するための有用なデータです。
ただし、それ自体を制作の目的とするのではなく、
誰に見てもらうのか。
何を伝えるのか。
どこまで理解してもらう必要があるのか。
視聴後にどのような行動や判断を期待するのか。
といった映像本来の目的に照らして評価する必要があります。
視聴者維持率は「どれだけ長く見られたか」を示す指標です。「どれだけよく伝わったか」を直接示す指標ではありません。
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最終更新日
2026年8月7日 14:52:32

