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サイドカット

「Pan & Scan(パン&スキャン)」とも呼ばれ、横長のアスペクト比の映像(例:16:9や2.39:1)を、縦長のアスペクト比のディスプレイ(例:4:3)で表示する際に、画面いっぱいに表示するために、映像の左右の一部を切り取る処理全般を指します。

サイドカットを解説するイメージ(監修・神野富三)

これは「センターカット」とは異なり、単に中央を切り取るだけでなく、映像の内容に合わせて左右に「パン(カメラを振るように動かす)」して、そのシーンで最も重要と思われる部分を画面内に収めるように調整されることがあります。


しかし、どの部分が切り取られても、結果としてオリジナルの映像情報の一部が失われることになり、制作者が意図した広範な視覚情報や構図が損なわれるという点は「センターカット」と同様です。過去のテレビ放送などでよく見られましたが、制作者の意図を尊重しにくい手法であるため、現在はほとんど行われません。

映像制作会社としての視点


映像制作における「サイドカット」は、主に異なるアスペクト比(画面の横縦比)に対応させる際、映像の左右を切り落として画面いっぱいに表示させる手法を指します。

特に、16:9(ワイド)で制作された素材を、4:3(旧来のテレビサイズ)や、1:1(SNS広告用)などに作り変える実務で頻繁に使われます。

実務的な手順をステップごとに解説します。


サイドカットの制作手順


1. シーケンス(キャンバス)の設定


まず、最終的な書き出しサイズに合わせたシーケンスを作成します。

例: 16:9の素材を正方形動画にするなら、1080×1080ピクセルの設定にします。

この時点で、元の素材よりも横幅が狭い「枠」が用意された状態になります。



2. 素材の配置とスケール調整


作成したシーケンスに元の映像素材を配置します。

初期状態では左右に黒ベタ(空白)が出る、あるいは全体が収まりきらない状態になります。

「フレームサイズに合わせてスケール」を行い、映像の上下が枠の上下にぴったり付くように拡大します。この時、元の映像の左右が枠からはみ出します。



3. パン&スキャン(位置の最適化)


ここが実務で最も重要な、クリエイティブな工程です。


センター合わせ

単純に真ん中で切ると、人物の顔や重要なテロップが切れてしまうことがあります。


リフレーミング

エフェクトコントロールパネルの「位置」の数値を左右に動かし、そのカットで最も見せたい要素(主役)が画面内に収まるよう調整します。



4. キーフレームによる動きの補正


固定の位置では被写体がフレームアウトしてしまう場合、アニメーションを設定します。

被写体が右に動くなら、映像の位置も右にスライドするようにキーフレームを打ち、常に主役が中心付近にくるよう追従させます。



実務上の注意点:セーフティエリアの意識


サイドカットを前提とした撮影や編集を行う場合、「16:9の画面で作るが、重要な情報は中央の4:3(または1:1)の範囲内に収める」というガイドラインを引いておくのが鉄則です。

これを怠ると、後からテロップをすべて打ち直すといった膨大な修正作業が発生してしまいます。

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わる

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