パン
パン(ニング)とは本来、撮影しながらカメラを縦・横・斜め方向に振ることすべてがパンでした。つまりフレーミングAからフレーミングBにレンズを向けることです。しかし現在は横方向のみをパンと呼ぶ人が増えているようです。
近年のネット上では、縦方向にカメラを振ることを「Tilt(チルト)」と言う記事で溢れていますが、元来日本のムービー界では、上下の動きは「縦パン」と言い、上に振ると「パンアップ」、下に下げると「パンダウン」と言ってきました。原則的には三脚に乗せて行いますが、ハンディ撮影などでは腰を回してパンニングすることもあります。
目的
視野を広げる
被写体を追う
シーンの広がりを表現する
画角に収まらない、離れた位置にある物相互の位置関係を示す
フィックスではエスタブリッシュショットのフレーミングが不可能な時の苦肉の策
オーディオミキサーにおける「パン」
一般的な機能として「パンポット」と呼ばれ、ミキサー(音響調整卓)の各チャンネルソース每に調整つまみがあり、音源(ソース)をマルチチャンネルオーディオの左右前後のどこに振り分けるか、あるいはどの位置に定位させるかを調整できます。
映像制作会社としての視点
チルト!? 縦パンはどこへ行った?
2010年代から急速に普及したハンディジンバルやミニジブ、ドローンなどのカメラヘッド部のコントロールボタンには Pan / Tilt とあるため、ビデオカメラを使った経験がない動画クリエーターが、「カメラの左右の動きはパン」、「カメラの上下の動きはチルト」と覚え、彼らの旺盛な発信力がネットやLLMを書き換えたのだと思います。これはカメラを斜めに振るパンニングに対する言及がないことから、推測できます。
パンができないビデオカメラマン
高解像度のアスペクト比16:9があたりまえになった今、画面の中の小さな被写体が粗くて見えないとか、画角に収まらないことが少なく、パンニングを必要とする場面も少なくなったことと、パンニングが前時代的な雰囲気を醸し出すと思う人もいることが、パンニングへの関心低下を招いていて、あまり大きな問題にならないのでしょう。
ワンマンプロダクション(カメラマン兼ディレクター兼エディターとか)現場や、全員カメラマン現場が増えたので、昔のようにディレクターとカメラマンとが「じゃあパンしようか!」とか、「ここはパンダウンでいいかな?」とか、カメラワークについて会話することもないのかなと思います。
パンの注意点
カメラワーク自体(動き)が映像の重要な要素になります。パンニングやズーミングなど、カメラワークが生む動き自体が演出要素になるショットでは、ディレクターは編集時に、動き出しや止めのタイミングをナレーションのキーワードとリンクさせるかも知れません。
したがってカメラワーク前後の「止め」は5~10秒保持すべきです。またカメラワークのing時間(スピード)もディレクターとよく相談しましょう。場合によっては、被写体の動きに同期させることもあります。その場合はディレクターのキューをもらいましょう。
パンニングはその動き自体が映像のモーションを生むものです。始めの「止め」、過不足のないスピード、決めの「止め」は、編集ソフトの機能で言えば「イーズイン・イーズアウト」。ムービーカメラマンの腕の見せ所です。
速度と止め
パンの速度と「止め」で、途中を含め、映る被写体の視認性を調整します。
スムーズさ
動きがカクカクしないように、スムーズにパンを行うことが重要です。
三脚の精度
ある程度の重みと、雲台の滑らかさも重要です。

