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アッセンブル編集とは

映像制作技術におけるアッセンブル編集 “Assemble Edit” は、ビデオテープを使ったリニア編集で用いられた編集方式のひとつで、インサート編集(Insert Edit)と対になる編集モードとして使われていました。

アッセンブル編集のイメージ

リニア編集時代のアッセンブル


リニア編集では、素材を再生するVTRから必要な映像や音声を取り出し、編集結果を別のVTRへ記録していきます。

アッセンブル編集では、映像や音声だけでなく、タイムコードやテープ走行を制御するための信号なども含めて新たに記録し、編集済み部分の後ろへ続けていきます。つまりアッセンブルとは、単に「映像を順番に並べる」という意味ではなく、VTRにどのような方法で編集結果を記録するかを示す技術用語でした。


一方のインサート編集は、すでに連続した信号が記録されているテープに対して、映像だけ、音声だけ、あるいは指定したトラックを差し替えるために使われました。



アッセンブルは「粗編集」という意味ではない


アッセンブル編集は、完成映像を先頭から順番に作っていく場合などに使われるため、粗編集に利用されることもありました。しかし、アッセンブルという言葉そのものが「粗編集」を意味していたわけではありません。

「粗編集」は編集の進み具合や完成度を表す言葉です。それに対して「アッセンブル」は、VTRへの記録方式を表します。両者は別の概念です。



ノンリニア編集ではアッセンブルという概念がなくなった


コンピューターを使ったノンリニア編集が一般化すると、編集者が「アッセンブルか、インサートか」を選択しながら一本のマスターテープを作っていく必要がなくなりました。

映像や音声はタイムライン上の任意の場所へ配置でき、途中のカットを差し替えたり、尺を変更したりしても、その後ろにある映像を改めて記録し直す必要はありません。

そのため、リニア編集における技術用語としての「アッセンブル」は、現在の一般的なノンリニア編集では基本的に使われなくなりました。



現在使われる「アッセンブル」


ただし現在でも、映像制作の現場で「アッセンブルする」といった表現が使われる場合があります。英語の assemble には、複数の部品や品物などを集めて「一つに組み立てる」「組み合わせる」という一般的な意味があります。

映像制作でもこの意味から、複数の映像素材や音声、CGなどを集めて組み合わせることや、別々に制作したパートを一本の映像として組み上げることを「アッセンブル」と表現する場合があります。

これは、リニア編集時代のアッセンブル編集とは別の用法です。

映像制作の現場から


リニア編集時代のアッセンブル編集には、現在のノンリニア編集からは想像しにくい注意点がありました。


アッセンブルは基本的に「後ろへつないでいく」


アッセンブル編集は、編集済み部分の末尾から先へ映像を追加していく場合には便利ですが、すでに記録されている映像の途中をアッセンブルで差し替えることは原則としてできません。

アッセンブルでは、映像や音声だけでなく、テープを安定して走行させるためのコントロール信号なども新たに記録します。そのため途中をアッセンブルで編集すると、編集終了点で、それまで連続していた信号が途切れたり、不連続になったりする可能性があります。



「途中に3秒追加」は簡単ではない


たとえば完成間近になって、

「やっぱり30秒のところに、このカットを3秒入れたい」

となっても、現在の編集ソフトのように、その場所へカットを挿入し、それ以降を自動的に後ろへずらすことはできません。

インサート編集なら、同じ長さの映像への差し替えはできます。しかし、3秒だったところを5秒にするなど、作品全体の尺が変われば話は別です。変更した場所から後ろを、あらためて編集し直さなければなりません。

このためリニア編集では、後になって構成や尺を変更するほど、手戻りが大きくなるという特徴がありました。



編集点だけでなく「テープの状態」を見る


アッセンブル編集では、編集終了点の扱いにも注意が必要でした。

VTRは編集点で瞬間的に録画を開始・停止しているわけではありません。テープを安定して走行させた状態で編集点へ入り、編集終了後も適切に抜ける必要があります。編集点前後のテープの状態が悪ければ、次の編集が正常につながらないこともあります。

そのため、画面に映っている映像だけではなく、テープそのものがどのような状態で記録されているのかを意識しながら編集する必要がありました。



リニア編集を規定していた「不可逆性」


ノンリニア編集では、カットを途中に挿入すれば後続のクリップは自動的に移動します。前の編集へ戻って尺を変え、全体を組み直すことも容易です。

リニア編集では、そのようなことは起こりません。

映像を時間軸の前から後ろへ、連続的かつ不可逆的に記録して作品を作っていました。

だからこそ、編集を始める前に構成や尺を十分に考え、後から大きな変更が生じないようにすることが重要でした。

アッセンブル編集の注意点を知ると、「リニア」という言葉が単に古い編集機器や編集方式を意味するのではなく、ノンリニア編集に比べて著しく制約の多い環境のなかで、編集という仕事の進め方そのものを強く規定していたことが分かります。

最終更新日

2026年8月20日 11:28:41

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わりながら

​ビジネス映像制作のノウハウを伝承する「名古屋映像設計研究所」を主宰

 執筆者ブログ「映像制作ガイドブック」

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