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コンポジション

コンポジション(composition)とは、複数の要素を組み合わせ、ひとつのまとまりを持った全体を構成することを意味します。

コンポジションとはを説明している画像

映像制作や写真、美術の分野では「構成」「構図」などと訳されますが、音楽では「作曲」、文学では「作文」や「作品」を意味する言葉として使われます。その根底には「複数の要素を組み合わせて、ひとつの全体をつくる」という共通した考え方があります。



コンポジションの語源


compositionの語源をたどると、ラテン語の「componere」に行き着きます。「com-」には「共に、一緒に」、「ponere」には「置く」という意味があり、原義は「複数のものを一緒に置く、組み立てる」というものです。

つまりコンポジションとは、単に「見栄えよく配置する」という意味ではなく、複数の要素を一定の意図や秩序のもとに配置し、それらをひとつの全体として成立させることを言います。

音楽であれば、旋律や和音、リズム、音色などを組み合わせてひとつの楽曲をつくります。文学では、言葉や文章、人物、出来事などを組み立ててひとつの作品をつくります。絵画や写真では、人物や物、背景、光、色などを画面の中に配置します。

日本語では、それぞれ「作曲」「作文」「構成」「構図」など異なる言葉に訳されるため分かりにくいのですが、英語ではいずれもcompositionという同じ言葉で表現されます。その根底にあるのは、「部分を組み合わせて全体をつくる」という共通した概念です。

映像制作の現場から


映像制作では、ひとつの画面だけを考えても、人物、背景、小道具、文字、グラフィック、色、光などがあります。さらに映像には時間軸があるため、ショットの順序や長さ、人物やカメラの動き、ナレーション、音楽、効果音なども作品を構成する要素になります。

撮影時に人物を画面のどこに配置するか、背景をどの程度見せるか、どのような光を当てるかといった判断もコンポジションです。編集において、どのショットをどの順番に並べるかという構成にも、より広い意味では同じ考え方があります。

映像とは、異なる要素を空間と時間の中に配置し、それらの関係によって意味や印象を生み出す表現です。その意味では、映像制作そのものを広い意味でのコンポジションと捉えることもできます。



VFX・CGにおけるコンポジション


VFXCGの制作では、コンポジションという考え方が特に重要になります。

VFXでは、実写映像だけで最終的な画面が完成するとは限りません。実写素材、3DCG、マットペイント、別撮りした人物や物体、煙や炎などのエフェクト、背景など、異なる素材を組み合わせてひとつのショットを完成させることがあります。

このとき、それぞれの要素を画面のどこに置き、どの程度の大きさにし、互いにどのような位置関係を持たせるかという「画面全体の構成」がコンポジションです。

たとえば、実写で撮影した街の映像にCGで作った巨大な建造物を加える場合を考えてみましょう。

建造物を画面の中央に置くのか、奥に置くのか。どの程度の大きさに見せるのか。人物や既存の建物との位置関係をどうするのか。それによって画面から受ける印象や、視聴者が最初に注目する場所は大きく変わります。

こうした判断は、CGを実写になじませる技術とは別に、コンポジションの問題です。



コンポジションとコンポジティングの違い


VFXの現場では「コンポジション」とよく似た「コンポジティング(compositing)」という言葉も使われます。

両者は関係していますが、同じ意味ではありません。

コンポジション(composition)は、複数の要素をどのように配置し、ひとつの画面として成立させるかという「構成」を表す言葉です。

一方、コンポジティング(compositing)は、実写、CG、背景、エフェクトなど複数の映像素材を実際に合成し、ひとつの映像として仕上げる工程を指します。その作業を担当する人は「コンポジター(compositor)」と呼ばれます。


たとえば、グリーンバックで撮影した人物を別の背景に配置するとします。

人物のキーを抜き、背景と合成し、輪郭、色、明るさ、被写界深度などを調整して、あたかも同じ場所で撮影されたように見せる作業はコンポジティングです。

それに対して、人物を画面のどこに置くのか、背景との大きさの関係をどうするのか、画面全体の視覚的なバランスをどう成立させるのかという判断はコンポジションです。

言い換えれば、コンポジションは「どういう画面にするか」、コンポジティングは「その画面を実際に合成によって作ること」と考えると違いが分かりやすいでしょう。



映像制作ソフトで使われる「コンポジション」


映像制作ソフトでは、compositionという言葉が特定の機能や作業単位の名称として使われることもあります。

代表的なのがAdobe After Effectsです。

After Effectsでは、映像、静止画、テキスト、図形、CGなどのレイヤーを配置し、時間軸上で動きやエフェクトを設定してひとつの映像を構成する作業単位を「コンポジション」と呼びます。

コンポジションには画面サイズ、ピクセル縦横比、フレームレートデュレーションなどが設定され、その中に複数のレイヤーを配置して映像を作っていきます。また、作成したコンポジションを別のコンポジションの中に配置し、ひとつのレイヤーのように扱うこともできます。


After Effectsだけを使っていると、「コンポジション」という言葉をソフトウェア固有の機能名のように捉えてしまいがちです。しかし、本来のcompositionが持つ「複数の要素を共に置き、ひとつの全体として組み立てる」という意味を知れば、なぜAfter Effectsがこの作業単位を「コンポジション」と呼んでいるのかも理解しやすくなります。

コンポジションは映像制作ソフトから生まれた専門用語ではありません。美術、写真、音楽、文学、そして映像へと広く通じる、「複数の要素を組み合わせて、ひとつの全体を成立させる」という表現の基本概念です。

最終更新日

2026年8月29日 16:46:04

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わりながら

​ビジネス映像制作のノウハウを伝承する「名古屋映像設計研究所」を主宰

 執筆者ブログ「映像制作ガイドブック」

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