top of page

360°カメラ

複数のレンズ(一般的には2基の魚眼レンズ)を搭載し、それぞれのレンズが捉えた映像を合成(スティッチング)することで、死角のない全方位の映像を記録するカメラです。2つのレンズで収録されたデータは、カメラ内部でのリアルタイム処理、または専用アプリケーションを用いたポストプロダクションによって、ひとつのシームレスな全天球データへと統合されます。

360°カメラを解説するイメージ(監修・神野富三)

特徴と運用メリット


番組制作等のプロフェッショナルな現場において、最も重宝されるのは「リフレーミング機能」です。全方位を収録しているため、編集段階で自由なアングルを切り出すことができ、メインカメラが捉えきれなかった予期せぬアクションや、現場の臨場感を後から自在にフレーミングすることが可能です。



解像度と画質


合成された映像の解像度は5.7Kや8Kが主流となっています。全天球データを1枚の平面(正距円筒図法など)に展開して合成するため、個々のレンズが捉える元のデータ解像度は、最終的な完成解像度よりも低く分散された状態です。



バリエーションと留意点


ハイエンド機

より高精細かつ歪みの少ない映像を得るために、6個以上のレンズを搭載した上位機種も存在します。


物理的な制約

カメラ直下の三脚や支持具、あるいは撮影者の手元は、スティッチング処理によって視覚的に目立たなくすることが可能ですが、物理的に完全に消去できるわけではなく、画角や配置に配慮したセッティングが求められます。


静止画・動画のいずれにおいても、従来の「画角に収める」という概念を超え、空間そのものを記録する機材として定着しています。

映像制作の現場から


360°全天周映像の使い方


魚眼モード

360度全体を歪んだ円状に表示します。


パノラマモード

360度の映像を横長のパノラマ画像として表示します。


分割モード

360度の映像を複数の画面に分割して表示します。

リフレーミング

撮影後に、360度映像の中から見たい部分を切り出して、通常の画角の映像として編集できます。これにより、撮影時には構図を意識する必要が少なくなります。


VR(バーチャルリアリティ)対応

撮影した360°映像は、VRヘッドセットなどで視聴することで、まるでその場にいるかのような臨場感ある体験が可能です。ただし、あくまで撮影された場所からの映像です。視聴者の任意な移動に対応するわけではありません。


ライブ配信

一部の機種では、360°の映像をリアルタイムでライブ配信する機能も搭載されています。ただし、VRヘッドセットなどの全天周再生装置でない限り、16:9などのアスペクト比の画面の中で、カーソル等で視線角度を選択して視聴することになります。



超便利なリフレーミング機能


360°カメラのリフレーミング機能は、「街歩き」撮影で大変重宝します。全方位を記録できる360°カメラで撮影することで、後から見たいアングルを、自由にフレーミングして切り出すことができるからです。完パケFHDであれば解像度も問題なく切り出せます。

街歩き番組で、タレントやMCが胸あたりに突き出した棒や、ヘルメットの上に設置している小型のカメラがこれである場合があります。


撮り逃しを防ぐ

360°カメラは周囲の全方位を記録するため、撮り逃しがありません。後から、路傍にあった看板やすれ違った人などを選んで映像化できます。


視線誘導による表現力向上

ズームイン、パンといったカメラワークを擬似的に行うことできますので、視聴者の視線を意図した場所に誘導できます。これにより、単調な街歩き映像に動きとストーリー性を加えることが可能です。


臨場感の再体験

撮影時には意識していなかった方向の面白い瞬間も、リフレーミングによって捉えることができます。これにより、後から映像を見返した際に、新たな発見や思い出が蘇ることがあります。


リフレーミング機能は、撮影時にアングルを固定する必要がないため、街歩き中にカメラの操作に気を取られることなく、その場の雰囲気を楽しむことに集中できます。撮影後、落ち着いて編集作業を行うことで、創意工夫に富んだ映像作品を作り上げることが可能です。

執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わりながら

​ビジネス映像制作のノウハウを伝承する「名古屋映像設計研究所」を主宰

ブログ

bottom of page