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報道パン

報道取材のカメラワークで使われる「素早いパンニング」のことです。カメラワーク用語で正しく言うと「クイックパン」のことで、一部の地域、一部の業界で使われていた用語です。

報道パンを解説するイメージ(監修・神野富三)

このパンニング法で撮った画は、一般的なPRビデオの撮影では、すわ「事件か!?」という印象を与えるため使いようがありません。昔、報道(ビデオカメラマンがブライダルビデオ撮影のアルバイトをすると、この「報道パン」をして叱られている姿をよく目にしました。幾分、揶揄する意味で使われていた用語です。



報道パンの概要


取材現場の状況と事件の核心を、1カットの短い時間の中に凝縮して見せます。具体的には、その場所全体の雰囲気を伝える広めの映像を1〜2秒映し出し、そこからあっという間にカメラを旋し、今日のニュースの焦点となる部分にズームインしてフィックスします。


ニュース番組の限られた放送時間の中で、取材VTRには極限までの簡潔さが求められるため、その結果として報道パンが生まれました。この技法では、パンニングの途中の映像が非常に速いため、何が映っているのかがほとんど判別できません。それは、その場所の状況と事件現場との間の「関係性」を示すことに重点が置かれているためです。


映像制作会社としての視点


報道パンが減少した背景


最近、ニュース番組で報道パンを目にする機会が減ったように感じられます。テレビ放送がフルハイビジョンになり、高解像度でワイド画面になったためでしょう。さらに、取材現場にプロのカメラマンが同行する機会が減り、記者やディレクター自身がカメラを回すようになったことが影響していると考えられています。報道パンは、パンニングと同時にズームやフォーカスを動かし、狙った場所でぴたりと止めるという、非常に高度な技術を要します。プロのカメラマンでさえ、何度かテイクを重ねる技だからです。



執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わる

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