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FIX(フィックス)

カメラワークにおいてカメラ、レンズの画角を固定して、フレームが動かないようにした撮影法です。(詳細は以下)

FIX(フィックス)を解説するイメージ(監修・神野富三)

「フレーム」とは、カメラが切り取る範囲のことです(詳しくは→フレーム構図画角)。


パンニングズーミングなど、さまざまなカメラワークがある中でも、フィックスショットの撮影は、最も基本的かつ重要な技術です。カメラの固定やフォーカス、アイリスなどの調整は、プロカメラマンであればできて当たり前ですが、一流のカメラマンは以下の2つが卓越しています。


フレーミングの知識とシナリオディレクターの意図の理解

②直感的に構図を見つけ出す、技能を超えたセンス


単に1ショットの人物撮影であっても、背景の選択、ショットサイズの選択、構図の作り方など、差が出る要素は無数にあります。


例えば、構図の余白は、被写体の存在感を際立たせたり、物語的な含みを持たせたりする重要な要素となり、画面に緊張感や静寂感を生み出したりすることも可能です。これは単なる技術的な知識ではなく、撮影者の感性、被写体に対する洞察力、そして演出者の意図を理解する能力と、それを実現する知識と技能が結実したものです。


プロビデオカメラマンは、映像の企画意図、シナリオを理解して、ディレクターに対して提案できるアイデアの抽出しを、どれだけ持っているかが重視されます。フィックスショットを見れば、そのカメラマンの技量が測れると言われています。


映像制作会社としての視点


フィックスショットの「探し方」に見る、カメラマンの二つのタイプ


フィックスショットは、カメラを固定して撮るというシンプルさゆえに、その構え方にカメラマンのタイプが顕著に表れます。彼らが撮影現場でポイントを探す様子を観察していると、大きく分けて二つのタイプがあることに気づきます。


一つは、「今いる場所から、最善の構図を探す」タイプ(A)です。

彼らは現場の動線や照明の配置を尊重し、無理のない範囲でベストな画を切り取ります。この方法で撮られたショットは、前後のカットとのつながりが自然で、編集時にイマジナリーラインを割るようなリスクも少なくなります。効率的で、シーンの流れを重視した「編集に優しい」選び方と言えます。なによりも撮影がスムーズに運びます。


もう一つは、「まず理想の構図を決め、それを撮れる場所を探す」タイプ(B)です。

彼らは「このシーンに必要な画」をまず頭に描き、それを実現するためなら、たとえ機材の移動や照明の組み直しが必要になったとしても、理想の立ち位置を譲りません。こうして撮られたショットは、時にAに比べて強い印象を視聴者に残します。ただし、画の力が強い分、前後のカットとスムーズにつなげるためのインサートカットを丁寧に押さえておくなど、フォローも重要になります。


現場を円滑に回す安定感のAか、画の力を追求するBか。

フィックスショットという基本のカット一つに、カメラマンの哲学が隠れています。どちらが良いというわけではなく、作品の性質や撮影状況に応じて、キャスティングすべきです。私の場合、香盤表がタイトな時はA、余裕がある時はBに依頼します。


執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わる

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