パンアップ
カメラの位置を動かさず、カメラの向きを下から上へ連続的に振って撮影するカメラワーク、また はそのようにして撮影されたショットをいいます。
対義語の「パンダウン」と併せて「縦パン」と呼ばれるカメラワークです。
たとえば、人物の足元から顔へ、建物の低層部から最上部へ、地面から空へとカメラを振り上げて撮影するのがパンアップです。
現在では、上下方向へカメラを振る操作を左右方向のパン(Pan)と区別してチルト(Tilt)と呼び、上方向への操作をチルトアップ(Tilt Up)と呼ぶ場合があります。
パンアップが切り取る映像
パンアップの特徴は、たとえば高層ビルを固定したカメラで広角で撮れば、建物の姿は一つの画面として提示されます。
これに対してパンアップでは、敢えて全体を収めず、画角を狭め、最初に建物の下部を捉え、カメラが上へ振られるにつれて中層部、上層部へと画面が移り、最後に建物の最上部を捉えます。つまりパンアップされたショットには、パンニングというカメラワークによって、「下から上へ」という縦方向の動きと、「何を先に見せ、何を後から見せるか」という時間軸が与えられます。
静止している建物を撮影していても、パンアップされた映像そのものには方向性と時間の流れがあります。
パンアップの目的・効果
パンアップは、観客の視線を下から上へ導きながら、情報を時間の経過に沿って提示することができます。人物の足元から顔へ振れば、その人物を徐々に明らかにすることができます。手元の作業から作業者の顔へ振れば、「何をしているのか」から「誰がしているのか」へ意味をつなぐことができます。
また、高い建築物や巨大な構造物を下から上へ追うことで、その高さや規模を強調することもできます。
上方向への画面の運動そのものが、上昇感、期待感、開放感、巨大さなどの印象を生むこともあります。
映像制作の現場から
注意したいのは、チルトアップとパンアップは、カメラの動きとしては同じでも、言葉としての性格が必ずしも同じではないことです。
チルトは基本的には、カメラを上下方向へ振る操作の名称です。これに対してパンアップは、
「建物のパンアップを撮る」
「ここはパンアップで見せる」
というように、操作だけでなく、その動きを持ったショットそのものの性質を表す言葉としても使われます。パンアップとは、単にカメラを上へ向けることではなく、パンニングというカメラワークによって、画面に縦方向の動きと時間の流れを与え、下から上へ情報を展開していくショットのことを表す言葉でもあるのです。
最終更新日
2026年8月29日 16:43:58

