フルショット
フルショット(Full Shot、略称:FS)とは、人物の頭から足先まで、全身が 画面内に収まるように撮影したショットです。
人物撮影で使われることが多く、顔や上半身だけではなく、立ち姿、姿勢、服装、身振り、動きなど、身体全体の情報を見せることができます。人物の全身とともに、その周囲の空間もある程度画面に入るため、人物がどこに立っているのか、周囲とどのような位置関係にあるのかを示すこともできます。
人物以外の被写体についても、商品や物体などの全体が画面に収まる撮り方を「フルショット」と表現することがあります。
同じような意味でフルフィギュア(Full Figure)という言葉も使われます。人物の全身を収めるという意味ではほぼ同じですが、「フルフィギュア」は写真撮影やファッション撮影で使われることが比較的多い用語です。
フルショットと他のショットとの違い
人物をどの範囲まで画面に収めるかによって、ショットサイズの呼び方が変わります。
ロングショット(Long Shot/LS)
人物だけでなく周囲の空間を広く見せるショットです。人物は比較的小さく映ります。
フルショット(Full Shot/FS)
人物の頭から足先までを画面内に収めます。全身の姿や動きを確認しやすいサイズです。
ミディアムショット(Medium Shot/MS)
腰や胸あたりから上を中心に映します。表情と上半身の動きを見せやすくなります。
クローズアップ(Close-Up/CU)
顔や手元など、被写体の一部分を大きく映します。表情や細部を強調するショットです。
ショットサイズの名称には厳密な国際統一基準があるわけではなく、現場や制作分野によって呼び方や範囲に多少の違いがあります。
構図上の注意
頭と足を切らない
フルショットでは、人物の全身が画面内に収まっていることが基本です。
頭頂部や足先が画面端ぎりぎりになると窮屈に見えるため、通常は上下に適度な余白を設けます。特に足元は、画面下端に接するような構図を避けることが多くあります。
ヘッドルーム
人物の頭上に設ける余白をヘッドルームといいます。
余白が大きすぎると人物が小さく見え、少なすぎると圧迫された構図になります。フレーミングでは、人物の大きさと背景とのバランスを見ながら決めます。
リードルーム
人物が横を向いていたり移動していたりする場合は、視線や進行方向の側に空間を設けます。
歩いている人物をフルショットで追う場合には、進行方向の余白が構図の安定感に大きく影響します。
カメラの高さ
人物を自然な姿で見せる場合は、腰から胸付近、あるいは目線に近い高さなど、意図に応じてカメラ位置を決めます。
ローアングルにすると人物を大きく力強く見せやすく、高い位置から撮影すると身体の見え方や背景との関係が変わります。
レンズと撮影距離
同じフルショットでも、広角レンズで近くから撮影する場合と、望遠レンズで離れて撮影する場合では見え方が異なります。
広角では遠近感が強調され、背景が広く見えます。望遠では遠近感が圧縮され、背景との距離が近く見えます。
したがって、フルショットとは被写体の大きさを示す呼び方であり、特定の焦点距離や撮影距離を意味する言葉ではありません。
縦位置と横位置
16:9などの横長画面では、人物を全身で入れると左右に比較的大きな空間が生まれます。
9:16などの縦型動画は人物の身体の形と画面形状が近いため、全身を大きく見せやすいという特徴があります。
アスペクト比によって、同じフルショットでも背景の見える範囲や人物の画面占有率は大きく変わります。
映像制作の現場から
フルショットが使われる場面(用途別)
1. 登場シーン/導入
登場人物をシルエット的に見せたり、立ち位置・服装・身体言語を一目で示すとき。
2. ウォーキング/移動を見せる場面
歩く全身のリズムや歩幅、地面との接触を明示する。
3. 群像の見せ場(複数人)
例えば「並んで立つ」場面で複数人全員を収める際に使う。個別の顔の情報は少ないが集団の関係性を示す。
4. 衣装・ファッション撮影
衣装の全体像を見せるために必須。ファッションカットの基本ショットの一つ。
5. アクション確認/演技の振り付け
俳優の身体全体の動きや位置関係(マーク、向き)を確認・指導する。リハーサル撮影でも多用。
6. マスターショット(カバー用)
シーン全体を収める“マスター”としてフルショットを撮影。編集でのつなぎに使う(カット割りの基礎)。
7. インタビューやドキュメンタリーのバリエーション
通常はミディアムショットだが、場面転換や環境説明のために全身ショットを挿入することがある。
8.商品カット
人物以外でも、CMや商品映像で「商品全体を見せるカット」としてフルショットが使われることがあります。特に商品のディテールではなく、サイズ感・全体形状・使われる環境との関係を見せたい場面で「フルショット」の考え方が適用されます。
9.建物などの全景
建築・空間などを映像化する場合には、では用途に応じた別の名称(全景ショット・ワイドショットなど)を使うこともあります。
最終更新日
2026年10月16日 16:43:45
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