エディター
映像編集ソフトないしは編集機器を操作してトリミングなどをした映像素材を、演出意図に沿って並べ替えるなどして、一連の映像作品をつくり上げる人、ないしはその職のこと、またはその装置のことを言います。日本語の「編集」も職名であると同時に、その職にある人の呼称でもあります。
どこまでがエディターの仕事か?
ビデオ技術が民生化した頃(VHSが普及した頃)から、粗編集・仮編集を自身で行うディレクターが現れ、それまでディレクターとエディターが二人三脚で行なっていた領域(粗編集・カットつなぎで素材をシナリオに沿って並べる)が、徐々にエディターから切り離されました。ただし、スタッフや機材が揃った放送局や大手プロダクション、映画製作会社では、今もプロセスの初頭からエディターが関わっています。
エディターが、どこまで演出意図に踏み込んだ編集をするかは、そのプロダクション組織のスタイルやディレクターの志向によって様々です。現在のノンリニア編集ソフトでは、かなり高度なエフェクトも容易に操作できますので、エディターの手を借りるのは、最終プロセス(高度なモーショングラフィックやVFXなど)だけ、という場合もあります。
被依存性が高い職
レギュラー番組の制作では、効率的な運用のため分業が確立している例が多く、優秀なエディターはシナリオと撮影素材を受け取れば、ディレクター抜きで一定レベルまで進められるため、引っ張りだこです。
高品位な映像を標榜するテレビ番組やCM製作、映画製作の現場では、エディターへの依存度が高く、クリエイティビティに大きく関与しています。したがって広範で高度な映像技術知識だけでなく、クリエイティブセンスと操作の速さ、スタッフとのコミュニケーション力が求められる高度な専門職です。
映像制作の現場から
「エディター」の技能にもピンからキリまであります
報道・情報番組や記録映像の編集においては、内容の正確さとスピードが最優先されるため、基本的な「カット編集(カットつなぎ)」ができれば、ディレクター自身がエディターを兼ねるケースも少なくありません。
このジャンルでは、複雑な演出や高度な画作りよりも、情報を過不足なく、誤解を生まない形で素早く視聴者に届けることが編集の主目的となります。そのため、編集作業は構成整理とカットの取捨選択が中心となり、作業フローも比較的シンプルになります。
一方で、映画やCM、ブランディング映像においては、企業やブランドの価値を映像の「質」で表現することが求められるため、エディターには画質を維持し、さらに向上させるという使命が強く課されます。具体的には、撮影素材の持つポテンシャルを最大限に引き出すためのカラーグレーディング、圧縮や変換による劣化を最小限に抑えるワークフロー設計、最終出力を想定した画づくりなど、技術的判断の積み重ねが作品の完成度を左右します。
また、CMやブランディングの編集では、「どのカットをつなぐか」だけでなく、「どの質感で見せるか」「どのレベルのクオリティまで仕上げるか」という判断が重要になります。
そのため、編集ソフトを操作できるだけでは不十分で、撮影フォーマット、コーデック、カラースペース、納品仕様などを理解した上で、全体のクオリティを設計できるエディターの専門性が不可欠になります。
同じ「編集」という行為であっても、報道・情報番組では“速さと正確さ”が価値となり、CMやブランディングでは“画質と質感の作り込み”が価値となる点で、エディターに求められる役割と技能の重心は大きく異なります。

