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ポストプロダクション

日本におけるポストプロダクションとは、撮影・収録後の映像処理全般を担う工程を指し、その業務を中心に請け負う会社を一般的に「ポスプロ」と呼んでします。(詳細は以下)

ポストプロダクションを解説するイメージ(監修・神野富三)

映像制作工程は大きく「プリプロダクション(準備)」「プロダクション(撮影)」「ポストプロダクション(仕上げ)」の3段階に分けられます。このうちプリプロダクションが企画立案から撮影準備までを担い、ポストプロダクションは撮影後の映像処理全般を受け持つ工程として発展してきました。ただし、ポストプロダクションが撮影機材やスタッフをもち、撮影から編集までを一貫して請け負うポスプロも多く見られます。日本のポストプロダクション業界は、後工程に特化した専門会社から、撮影を含む総合的な映像制作会社まで、様々な業態が存在しています。

映像制作会社としての視点


業務内容


テクニカルコーディネーター


映像制作における技術面の統括責任者として、作品の質を守りながら効率的な制作を実現する要となる職種です。撮影から編集、特殊効果まで、制作全体を見渡しながら、創造的なビジョンを技術的に実現可能な形に具体化していきます。従来のポストプロダクションの範囲を超えて、企画段階からの技術設計にまで及びます。映像表現の多様化とデジタル技術の進化により、制作工程は複雑化の一途をたどっており、それらを効果的に統合する役割の重要性は増す一方です。制作現場では、演出部門の意図を理解し、それを実現するための最適な技術的解決策を提案します。同時に、予算や納期といった現実的な制約との調整も重要な任務となります。各部門間の連携を円滑にし、一貫した品質管理を実現することで、作品全体の完成度を高めていきます。



エディター(編集)


CM・テレビ番組・企業ビデオ(VP)などの制作において、実際の映像の編集作業を行います。一般的にはディレクターの指示のもと、カット同士を繋ぎ、効果を施す編集だけでなく、テロップ挿入、色調整、合成などをこない、映像を最終的な視聴者が見る形にします。企画意図やシナリオを正確に把握し、映像技術全般の知識を活かし、最適なワークフローを提案することも重要である。ときにディレクターに対してより良いアイデアを提案する技能とセンスを必要とする職務である。



カラーグレーディング


映像の色調整を通じて作品の世界観を構築する専門家です。カラーコレクションが色の補正であるのに対し、カラーグレーディングは色の演出です。色彩感覚と高度な技術力を組み合わせ、作品全体の色調を統一し、演出意図に沿った視覚表現を実現します。近年は、撮影現場でのオンセットグレーディングにも関わることが増え、企画段階からの色彩設計にも参画するようになっています。



VFXコンポジター


映像制作における視覚効果の専門家として、実写映像とCGを違和感なく融合させ、新しい映像表現を生み出す職種です。撮影された実写映像にCGや各種エフェクトを合成し、一つの完成した映像として仕上げることです。具体的には、グリーンバックやブルーバックで撮影された映像から背景を切り抜き、新しい背景と合成したり、3DCGで作られたキャラクターや物体を実写映像に自然に溶け込ませたりする作業を行います。近年は、撮影段階からVFX工程を考慮した計画が立てられることも多く、プリプロダクション段階からの関与も増えています。



MA


テレビ番組・CM・PVなど、すべての作品の音響にかかわる仕上げ全般を担当する。DAWやミキシングコンソールを操作しながら、セリフ・ナレーションBGM効果音などを映像に重ね合わせ作品を完成させていく。音響の仕上がりは、視覚との相乗効果で作品の完成度に大きく影響を与えるため、制作者のイメージ、意図を最大限表現できるよう、音量・音質・音空間の総合的なサウンドデザインやミキシング処理を施していく。チャンネルベースやイマーシブサウンドなど、制作者のリクエストに応じて映像と一体化した様々な形態の音にまとめ上げる能力が求められる。



CGクリエーター


コンピューターグラフィックスを駆使して、映像作品に必要な視覚要素を制作する専門職です。実写撮影では実現困難な精緻な3D映像表現や、技術解説などに適した単純化した2Dアニメーションを、デジタル技術で創造することが主な役割です。モデリング、テクスチャリング、リギング、アニメーション、ライティング、エフェクトなど、多岐にわたります。キャラクターや建造物、自然現象まで、あらゆる視覚要素をデジタルで作り出します。



サウンドデザイン


映像の音響効果を設計する作業です。単なる効果音の付加だけでなく、音響効果全体を通じて番組の世界観や演出意図を表現します。効果音の選択、音量バランス、空間表現など、総合的な音響演出を行います。特に映画やドラマでは、視聴者の臨場感を高める重要な要素として位置づけられています。



データ変換


撮影現場から届くデジタルデータの処理が主な業務となります。DITと呼ばれる撮影現場のデータ技術者と連携しながら、デジタル現像処理や各種ファイル変換を行います。具体的には、編集用のオフラインデータ作成、確認用のプレビューファイル生成、原版となる素材の確実なバックアップなどを担当します。また、完成した作品を放送局や配信事業者の技術基準に適合させる作業もあります。それぞれの媒体が要求するファイル形式やフォーマットへの変換を、品質を維持しながら実施します。



オーサリング


映像・音声に加えて、メニュー画面、字幕、章立てなど、複数のデジタルコンテンツを一つのパッケージとして統合し、DVDやBlu-ray、各種配信プラットフォームなど、最終的な出力先に応じて最適な形式にまとめ上げていきます。この作業には「エンコード」という映像素材を最適な形式に変換する工程があり、それぞれの配信媒体が定める技術仕様の中で、可能な限り高品質を保ちながら、適切なデータサイズに圧縮する必要があります。

映像配信の分野では、視聴環境に応じて複数の品質を用意する必要があり、正確な技術判断が求められます。



技術


スタジオ設備の日常的な保守管理です。編集機材やストレージシステム、ネットワーク環境など、様々な技術インフラの安定稼働を確保します。突発的な機器トラブルにも迅速に対応し、制作現場の業務停滞を最小限に抑える役割を担っています。また、映像技術の急速な進化に対応するため、最新機材の評価・検証や、新しい制作ワークフローの設計も重要な任務です。現場のニーズを的確に把握し、効率的な制作環境を提案・構築します。



執筆者・神野富三

名古屋の映像制作会社・株式会社SynApps代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして40年にわたり映像制作に携わる

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